思ったよりビターな『劇場版SHIROBAKO』を観る

 

SHIROBAKO』は好きなアニメだったと思う。ラジオも聴いていた。が、劇場版はとなると去年……コロナ禍が始まった頃か。映画館に観に行くことはなかった。ようやく観た。

思ったより、ビターだった。

なにせ、テレビ版からいきなり4年後なのである。そして、あの苦しみながらも輝いてた武蔵野アニメーションは大きなトラブルに見舞われ、社長も退き、活気を失っている。そのなかでも宮森は孤軍奮闘しつつ、劇場版アニメの元請けという話が飛び込んできて……。

そこでさあ、その決断をするときに、ミュージカル始まるんよ。「アニメーションを作りましょう」ってさ。ああ、このけれん味嫌いじゃないな、というか好きだな、と思った。

が、けれん味の映画じゃないんだよな。重いというほどではないが、やはり4年というものがあって、登場人物のそれぞれにいろいろなものが積み重なって、それでも、というところのさじ加減が絶妙よな。いい映画よ。

それにしても、スタッフロールの登場人物の多さときたらないよな。アニメ作品の裏側には多くの人間が関わっていて、その多くの人間を描いたからこその多さであって、その多くの人間を創り出した多くの人間というものよな。アニメは、いいですな。

で、関係ないけど、この作品を観た夜、おれは夢を観た。『ガルパン』の西住殿が、なぜか『空中強襲揚陸艦SIVA』のように、生身で槍みたいなのを振り回して戦車を破壊していた。水島努監督作品つながりと知ったのは、今さっきのことだ。おれは声優さん以外、あまりアニメのスタッフというものを意識したことがない。音響に「田中理恵」の名前を見ると「お、田中理恵さんだ」と思うくらいのことである(SHIROBAKOには中田恵理が出てくるが)。いまさらながら、もうちょっとアニメの作り手という偉大なる存在にも思いを馳せるべきかもしれない。