大原まり子『戦争を演じた神々たち』を読む

 

おれはあまり昔からのSFファンではない。SFファンと呼べるかどうかもあやしい。絶対に千冊読んでいないだろう。

というわけで、この間、「大原まり子」という名前を知った。なにやらSF作家が反ワクチン派になったぞ、という話題だった。

どんな作家なんだろうか。気になった。そういうこともある。

なんかの賞を受賞した、作品が映画になった、そんなことで新たに作家を知ることもある。一方で、こんな話や、あるいは訃報なんてことで知ることもある。そういうこともある。

『戦争を演じた神々たち』は二冊の短編集を合わせた本らしい。よく知らない。短編集とはいえ、同じ宇宙を舞台にした連作といっていい。

文章は簡潔で、ときには田村隆一の詩のような趣さえある。とはいえ、内容はもっとどろどろとしている。SFといってもハードではない。とはいえ、ファンタジーというにはSFすぎる。

ゴシック的、とでもいうのか。よくわからない。神話的であって、幻想的でもある。フェミニズム的というと忌避する人もいるかもしれない。ただ、もしもその人が大雑把に男性と分類されると自覚する人類であるならば、大雑把にそうでない人類の視点というものも新鮮なものであるだろう。

正直、ようわからんところもあるし、おれの趣味と合わないところもある(ある種の生々しい描写をおれはあまり好まない)。それでも、永遠の富と安息を得た世界に、この資本主義というものが入り込ませてしまったらどうなるか。人と人ならざるものの出会いはどうなのか。なにが起源で戦争が起こるのか。それについて、独特の感性で描いているように思う。

どうにもわからないところに手を伸ばしてみるのがSFだろうと思うし、それについて、この幻想的な本は伸ばしてみていると思うのだし、サイバーパンクでもある。わりと著者はちょっと狂ってるんじゃないかというような気もするし、ともかく、けっこう興味深く読めた。なんであれ、おれにとって未知との遭遇なのは間違いなく、また気が向いたらこの著者の本にあたってみようと思う。

<°)))彡<°)))彡<°)))彡<°)))彡

<°)))彡<°)))彡<°)))彡<°)))彡

<°)))彡<°)))彡<°)))彡<°)))彡

 

こちらもちょっと読んだが、今ちょっと合わない感じがしたので置いてある。