魂はどこにあるんだい? 映画『アド・アストラ』

f:id:goldhead:20190921190327j:plain

映画『アド・アストラ』をIMAXシアターで見てきた。

プロデューサーにして主演のブラッド・ピットといえば『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』で見かけたばかりだし、「アストラ」を含むタイトルのSF作品というと『彼方のアストラ』を見たばかりだ。まあ、本作を見るにあたって関係があったわけではない。

goldhead.hatenablog.com

 

goldhead.hatenablog.com

 

……で、『アド・アストラ』の感想を書きます。ネタバレするかもしれません。

www.foxmovies-jp.com

 

……はっきり言うと、魂がどこにあるかわからない作品だった。「SFはなんの略か?」という一種のネタがあるが、おれにとって「SFのSはSoulのS」と言いたい。じゃあ、「Fはなに?」となるが、えーと、Funky? ソウル・アンド・ファンキー? いや違うな。

まあいい、どうもおれはこの『アド・アストラ』に魂を感じられなかった。「魂」ってなに? となるとまたこれは難しい話だが、たとえばおれが魂があると思うSF映画となると、『ギャラクシー・クエスト』あたりになる。

goldhead.hatenablog.com

なんや、今読み返したら、やっぱりハートだの魂だの言ってるな。まあいい、ソウルやスピリットが大切なんだ。

となると、おれには『アド・アストラ』の魂のありかがわからなかった。そう、おれにはわからなかった。父と子の関係がそれである、というのであれば、「はあ、そうだったの」ということになる。そう、あくまで「おれには」だ。この「父と子の関係」というものに自己の経験などが反応して、刺さる人もいるだろう。そういう人は幸せである。「せめてIMAXじゃなくて、普通のスクリーンでよかったかなぁ」などと財布を覗く必要がないからだ。

というわけで、この作品、トミー・リー・ジョーンズブラッド・ピットの親子関係というところに的を絞った、非常にストイックな作品だといえる。SFのけれん味も、ちょっとした笑いも、全て捨てている。「そこがいい!」という人もいれば、おれのように「乗れないな」というやつもいるだろう。そんなところだ。

いつかわからないが、近未来、そのあたりの描写は見事だ。描写というか、当たり前のように近未来がある。今、この瞬間と地続きの未来を、リアルに、淡々と描いてくれている。指紋で月への民間輸送船のブランケットを決済する。月の都市にはサブウェイがある。そういうものだと思う。そんなところだ。だが、そういうところをこだわって、巨大ホログラム女性の広告なんてものは出てこない。スシマスターが「二つで充分ですよ」と言ったりもしない。ストーリーは淡々と進む。

淡々といっても、バトルシーンは入れたかったのか、月面での襲撃。これについては、「米宇宙軍、もうちょっとマシな武装をしろよ……」としか思えなかった。脚がなくてもいい、ギガンくらいのなにか、というか、装甲トラックみたいなもんはないのか、と。いや、「サージ」の影響で動かせなかった、とかいう設定があるかもしれんが、賊にだかなんだかにあっさりやられすぎだろ、と。

まあ、そんなんは本題でもないか。問題は、父との対面シーンだ(ああ、すごいネタバレですよ、これ)。これが、なんともあっさりしすぎていて、どうにも物足りなさを感じた。感じざるを得なかった。たとえば、父も反乱への対処という形で罪のない人の命を奪っている。息子も似たようなことになった。しかし、そのあたりもない。あるいは、何十年も地球からはるか離れたところで一人生きてきた人間の正気と狂気というものもない。なんともいえず、あっさりしている。そのあたり、「とくに父と子の関係に興味は……」という人間を巻き込めていない。その後の宇宙行動もちょっとあっさりしていて、まあ、あえて危機感や緊急性の描写も排したのかもしれないが、どうもな、と。

というわけで、まあ、ブラッド・ピットが見たかったら『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(まだやってるかな?)、「アストラ」のSFが見たかったら『彼方のアストラ』でも見たほうがいいのでないか、という感じ。

でも、ただ、なんだ、IMAXというのはやはりいいな。子供のころに見た「大スクリーン」の感動が戻ってきたような感じがある。映画ってのは、こんくらいでかいのが普通であってほしい、みたいなところはある。

 

以上。

 

<°)))彡<°)))彡<°)))彡<°)))彡

<°)))彡<°)))彡<°)))彡<°)))彡

<°)))彡<°)))彡<°)))彡<°)))彡

goldhead.hatenablog.com

……なんとなく思い出した。

goldhead.hatenablog.com

撮影の……なんかの人が同じなんだっけ。

 

goldhead.hatenablog.com

よくわからないが、「あの火星のやつはディカプリオだったよな」とか思っていたが、マット・デイモンが正解だった。