おれはDCもマーベルも知らない。知る機会なく生きてきた。アメコミが好きとか嫌いとかいうまえに、接する機会がなかった。なので、世の中が『アベンジャーズ』とかで盛り上がってるときに、「え、みんなアメコミ世界にどっからか入ってたの?」と驚いた。
そんなおれも、なんか評判がよいとなると、ちょっと見てみるかという気になる。というわけで『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結 』を見た。もちろん、「ハーレイ・クインというのはなんとなく知っているような気がしないでもない」ていどだ。ほかはなんにも知らん。
で、正直言うと、少し寝落ちした。ただ、少しなので、気にせず見続けた。ハーレイ・クインがなんかぶっ殺して、吊るされたけど、足で絞め殺して、やっぱりぶっ殺すようなところから再開した。
おもしろいじゃん、とは思った。「とは思った」というところがあれで、やっぱり元ネタとか知らねえしな、というのがどこかにあったり。あとはなんだろうか、もうアクションもちょっとした伏線もストーリーの展開も百点満点という感じで、逆にこう、百点満点みたいに作り込まれていると、ちょっとだけ「ああうまいですね」という感じになってしまうところがある。「これにはアメリカという国の対外政策がやってきたことへの風刺があるんだ」などとなると、さらに「よくできているなー」と思うばかりである。
というか、百点満点みたいな映画にどっかしら満足していないおれは映画になにを求めているのだろうか、自分でもよくわからない。ただ、もうちょっと間が抜けていてほしいというか、隙があったほうがいいような気はする。うまく言い難いが。あるいはもう、なんか監督の狂気がぶち抜けてるくらいがよくて、この作品もかなりぶち抜いているかもしれないけれど、よくできたぶち抜けかたかな、というハリウッドアメコミ原作大作映画シリーズに対する偏見があるかもしれない。
そんな偏見を持ったおれは先日こんな記事を読んだ。
スパイダーマンの所属はしらないが、なんかまあアメコミ原作の大作だろう。おれはべつに「映画かくあるべし」みたいなものはないので、記事のタイトルに対しては「映画なんじゃね」くらいにしか思わないが(それにこういう記事のタイトルは扇情的にされがちだし)、ただ、なかに気になる記述があった。
例えば2012年には『アルゴ』や『世界にひとつのプレイブック』のような、2019年には『パラサイト 半地下の家族』や『フォードvsフェラーリ』のような、2億ドル以上の世界興収を稼いだ優れたスタンドアローン作品があった。2021年になると、そのレベル(つまり『アベンジャーズ/エンドゲーム』や『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の10分の1程度)のヒット作でさえ、フランチャイズ以外の作品ではほとんど見当たらない。気がつけば、ブロックバスター作品とアートハウス作品の中間にあるハリウッドメジャーの作品が、集客面だけでなく劇場公開された本数においてもすっかりスカスカになっているのだ。
『アルゴ』も『世界にひとつのプレイブック』も『パラサイト』も『フォード&フェラーリ』も見たな。ああ、でも劇場に行ったわけでもないというとそうか。いや、どれかには行ったと思う。
年が明けてからも、ニューヨークタイムス紙は「『パラサイト 半地下の家族』や『フォードvsフェラーリ』が大ヒットした2年前までの世界はもう二度と戻ってこないだろう」とマーケットの急速な変化を分析したコラムを掲載し、エンターテインメント・ウィークリー誌は「もう『アルゴ』のような映画が劇場作品として作られることはない。今後、ああいう大人向けの作品はストリーミングサービスのリミテッドシリーズとして作られるようになる。映画館で上映される新作のほとんどは、MCUの展開を楽しみにしているような若者向けのものになっていくだろう」と語るベン・アフレックのインタビューを掲載した。
うーん、そうなのか。それはそれであまりおもしろくない。アマプラとネトフリは続けなきゃいけないな、ということになる。まあ、お得なんだけど。それでも、あれだよな、おれみたいなMCU知らんなというおっさんは家にいろ、ということか。つーか、コロナで映画館に行く気にもならないしな(映画館そのものより、行くまでにいくらか人混みのなかにいるのがいや。オミクロン嫌い)。
つーか、こういう超大作ものだけ劇場公開ってコロナの影響もあるんじゃないのかな。まあいいか。いずれにせよ、そもそも映画館に通うというより、話題作を落ち穂拾いのように家で見るようなおれには関係ない……のかな。どちらでもいいや。でも、たまには佐藤泰志原作の邦画をシネマ・ジャック&ベティに見に行くとか、そんくらいの趣味は持っていたいかな。そういうのアートハウス作品とかいうのか。わからん。まあいいや。そんなところ。
あ、この雑な感想文にDCやマーベルなどに対する無知や無理解が多数含まれていると思いますが、愛好家のみなさまにおかれましては、「接する機会のなかったもののたわごと」として御海容のほどお願いいたします。いや、罵ってもいいけど、なんか水玉ぶつけてぶっ殺すのとかは無しで。
でも、まあハーレイ・クインはかっこいいけどな。