今さらネタバレもないだろうが……『カメラを止めるな!』で再生を止める

 

カメラを止めるな!

カメラを止めるな!

 

今さらながらに『カメラを止めるな!』を見た。なんとなく見る機会を逃しつつ、「今度テレビ放送があるのか、それで見るか」と思いつつも仕事で帰れず、ようやくにして昨日と一昨日(だったかな?)に見た。

二日に分かれているのはなぜか。おれが眠りに落ちそうになったからだ。「ここで寝落ちして、最後のオチをいきなり見ることになったらいかん!」と、必死に停止ボタンを押したのである。そのタイミングはといえば、「一ヶ月前」のテロップが出るあたり。すなわち、劇中劇が終わってネタばらし、というタイミングであった。

「ネタばらし」。おれはこの映画の評判の洪水に対して、一番おそれていたのは、これであった。「なにか仕掛けがある映画らしい」ということを察知し、いかなるレビューも避けて、避けて、ここまで待った。どんな構造なのか、仕組みなのか、どんでん返しなのか、ともかく、おれはそれを知らずにこの作品を見たいと思った。だって、それだけすごい好評が押し寄せていたのだから。

が、正直なところ、「ああ、そういう」というところであった。ハードルが上がりすぎていたせいかもしれない。メタ映画製作とでもいうのか、そういう内容であった。実のところ、おれはメタゾンビ映画、を想像していた。ゾンビ映画を撮っていたら、実際のゾンビが、という。ところが、この映画ときたら、ゾンビ映画を撮っていたら、実際のゾンビが、という映画を撮っていた映画、なのである。

それはそれでいい。それでいいが、まあ、なんというか、三谷幸喜の『ラジオの時間』のような感じで、すごくよくできているけれど、そこまで刺さるところはなかったかな、という感じ、なのである。

刺さらない、といっても、「5段階評価しろ」と言われれば4か5をつけるだろう、4.5と答えるだろう。かといって、個人的に刺さるところがあるかといえば、刺さらないというのが正直なところである。その理由はといえば、第一にゾンビ映画にまったく興味がないということ、第二にそれほど映画製作自体に思い入れがない、ということになるだろう。

なのに、採点をしようとすれば、5段階評価で4か5か4.5になってしまう。これはすごいことだ。やはりなんらかの「本当」がこの映画にあるということだろう。あるいは、おれが見る時機を逃したということにすぎないのかもしれない。ただ、まあ、おれはこの作品を見るにあたって、一回再生を止めて、翌日続きを見た、という事実は覆されないのであった。ただ、見る価値のある映画であるということは言っておきたい。そして、もう一回冒頭から再生したいと思わせる作品である。ともかく、損はしない。そんなところ。以上。

 

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