【大腸NETの話】手術前夜(入院の日)

いま、病室にいる。4人部屋。病棟の11階。残念ながら窓際ではなかった。

 

荷物は大荷物。Amazonで買った謎中国製のでかいだけが取り柄のクソダサリュックと、すばらしいストライクウィッチーズのボストンバッグいっぱいになった。

 

入院は13時。20分前くらいに着く。一応、入口機械に診察券を通してみたが、予約無しの反応。マイナンバーカードだけ認証させる。これを忘れたら大変なことになる。

 

入院手続き。7人待ち。椅子のないカウンター。診察券と入院同意書、それに薬(普段飲んでいる双極性障害の薬)とお薬手帳を渡す。

 

レンタルカウンター。術後着を2日分だけレンタルするように言われていたので、そうする。が、なにか意外という反応。どうも、レンタルセットというものがあって、パジャマ、ガウン、術後着、フェイスタオル、バスタオルで1日500円、みなこれを利用しているのだろう。入院前最後の説明をしてくれた看護師さんもそう言ってくれればよかったのに。でも、10日5,000円。こちらは新しいルームウェアとフェイスタオルを用意してきたが、これは今後の日常でも使える。まあいいだろう。

 

病室のある階へ。ナースステーションに診察券と入院受付で渡された紙を出す。部屋を案内される。いろいろな医療用機材が設置されており、「これが病室か」と思う。

 

すぐに病棟の説明。シャワー室は仕切られてたくさんの人がいっぺんに使うやつを想像していたが、風呂場であった。湯船は使えないが、予約をとって一人一人で使う。翌日手術のおれの名前は最初から看護師さんによって書き込まれていた。

 

病室に戻るとすぐにべつの看護師さんがくる。いろいろなものが満載のワゴンを押してくる。上にはノートパソコンがのっている。検温。37.4℃。高い。さっき、入院受付でおでこで測られたときは36.5℃だったのに。採血。手術前ということで何本も採られる。血中酸素濃度とかも測った。いろいろの同意書の確認もした。

 

このあとだったろうか、一度間をおいて、またべつの看護師さんが来た。入院生活の細かい説明、時間割。そこは知りたかったところ。前に渡されていた手術の説明書や、入院生活のスケジュール、そしてストーマの説明など。

 

あと、マグコロールPが用意されていた。「飲んだことはありますか?」と聞かれたので、「あると思います」と答えた。が、いまブログを検索しても出てこなかった。気のせいだろうか。でも、下剤(腸管洗浄剤)であることは知っている。飲んだら味に覚えがあるような気もする。大きめのコップ一杯分くらいだろうか。15分かけて飲んでくださいという。

 

マグコロール飲みつつ、持ってきた延長コンセントとノートパソコンを接続。Wi-Fiが弱い。繋がったり、繋がらなかったりする。一回トイレに行く。

 

20分後くらいに看護師さんが来る。レントゲンを撮ってきてくださいとのこと。4階へ。この時間になると入院患者ばかりなのだろう、パジャマの人が多い。おれは来たときのシャツにズボンで場違いな印象。ただ、手首にはIDコードを巻いている立派な入院患者ではある。とはいえ、おれはこの中では若い。車椅子で、何本も管と繋がっている人もいる。やはり場違いか。

 

やや、便意におそわれる。しかし、一回トイレに行くタイミングもなさそう。ここは我慢だ。我慢しながら、「これから三ヶ月かそれ以上、便意を我慢するという経験は消滅するのだ」と思う。レントゲン無事終わる。すぐにトイレに行く。ほぼ水。

 

病室に戻る。へその清掃。オリーブオイルと綿棒で行う。行うというと自分で行うようだが、行うのは看護師さんだ。きれいだとほめられる。「なかにはサザエのなにかのようなものが出てくる人もいるんですよ」。

 

つづいて、シャツをめくって、ズボンを極限までおろして、「落書き」。ストーマ(人工肛門)設置位置のマーキング。決めるために、脇腹のあたりなど触られて、ペンでなにか線を引かれて、おれは「ウヒ、ヒヒヒ、アヒ―ン」となってしまう。くすぐったがりやなのだ。つられて「くすぐったいですかー、あはは」と看護師さんも笑うので、よけい耐えられなくなる。

 

しかし、それとは関係なくストーマ設置位置には難儀した。おれのだらしない腹にうまい場所がないらしい。もう一人看護師さんが来ていたのだが、「◯◯先生いた? 呼んでくる」といって、なにやら医師が二人も座っているおれの腹を覗き込むことになった。なにやら位置指定の専門用語を使って、候補の場所を2つマーキングした。それもくすぐったかった。

 

それが終わると、すぐにシャワーの時間。入院用に買った「髪顔体」のメンズビオレONEとタオルだけ持って浴室に向かう。途中、ナースステーション前で「使用中」と書かれた段ボールの札を持っていって、浴室の入口にかける。「髪顔体」はよく泡立ち、頭を洗、顔を洗い、その流れで体までいってしまう。べつに髪もゴワゴワしないし、スッキリするし、これ、普通に便利なのでは? 少なくとも入院には向いている。

 

 

部屋に戻る。戻って、自販機コーナーに行って水を買う。今日は絶食。明日の手術日の絶食。明日は水も飲めない。そのあと、水を飲めるようになっても、水がなくては困る。だから買った。三本買って帰って、一本に手を出したら、すぐに飲み干してしまった。

 

想像以上に、病室が暑い。ふだん、そうとう隙間風が吹く安アパートに住んでいるせいもあるが、病院の温度をなめていた。だいたい、病院のレンタルパジャマというのは薄手だ。それに合わせるに決まっている。寒いはずがない。なのにおれはちょっともこもこしたルームウェアを持ってきてしまった。失敗だったろうか? なんかもう、下は履き替えたけど、上はTシャツだけで十分だし。このあたり、入院経験値の低さが出た。

 

これで少し時間が空く。何個か仕事のメールが来ていてやりとりなどしていたが、もう終業時間だ。さて、どうしよう。そうだ、Netflixで『ザ・ロイヤルファミリー』を観よう。そういうつもりで、おれは録画もしている『ザ・ロイヤルファミリー』を観ないでいたのだ。

 

が、Wi-Fiは弱い。iPhoneのインターネット共有(テザリング)を使う。おれのキャリアはPOVOで、セール中に365日分を一括買いしていた。が、半年くらいすぎた今、ギガは1/3も余っている。ここが使いどころだろう。とはいえ、あまりにも減りが激しいようであれば、「データ使い放題2時間180円」とかを買えばいい。povoはそういう使い方ができる。6時間なら250円だ。レンタルWi-Fiとかに比べても安いんじゃないだろうか。

 

というわけで、おれは『ザ・ロイヤルファミリー』の第一話をようやく見ることができた。ギガの減りを見た。予想以上に減っている。やはりNetflixの最大画質配信だとそうなるか。やはり2時間使い放題買うか? と、思ったら、もうなにか夜の薬の時間も迫っているし、今日はやめておこう。

 

ということで、これを書いている。

 

明日は8:50から手術だ。終わるのは午後だ。長くなるという。おれは、朝、起きられるのだろうか。「大部屋ですけど目覚まし仕掛けていいですか?」と聞いたら、朝、電気がついたら起きられますよとのことだった。というか、翌日のための薬を持ってきた看護師さんが持ってきた説明書によると、おれは朝の6時にレキソタン(おれが持参した薬)を飲むことになっているらしい。そりゃあ起こされるか。

 

そしておれは、パンツの上に術後着、足に弾性ストッキングを履いて手術を待つ。時間が来たら歩いて手術室に行く。帰ってくるときはたくさんの管をつながれて、腹には人工肛門ができている。

 

術後はやはり痛いという。痛さを10段階で知らせてほしいという。説明書を読んでも、正直なにが1でなにが10かよくわからないと言うと、痛みはよくないので痛み止めはつかいますから、とのことだった。それでも翌日からは歩かせますから! と、その看護師さんは言っていた。おれは歩けるのだろうか? いろいろな管をぶら下げて。

 

さて、今日のところはここまでにする。消灯時間まで、あとはなにをしよう?