たとえば深夜長距離バスの方が統計的に死亡率高いでーと言われても、やっぱり飛行機の方がおっかない。墜ちたら死ぬやん。確実に死ぬやん。そう思うやん。でも、死ななかったというのだから奇跡だ。ハドソン川の奇跡だ。
クリント・イーストウッドは名も無き英雄を描かせるとすごい。名のある英雄を描かせてもすごい。べつに英雄を描かなくてもすごい。というわけで、クリント・イーストウッドはすごい、そう思った。
映画としては現在、回想が前後しつつも、いたってシンプル。そして適度な時間。ものすごいフックというかキックというか、そういうものはない。でも、飛行機が墜ちたんだぜ、川に不時着だぜ、全員生きてんだぜ、それをなにか盛り上げようとも、盛り下げようともせず、淡々と描写する。メディアに注目される機長、調査委員会からの追及を受ける機長、そのあたりも淡々としている。そこにグレートさがある。物語の振れ具合のようなものがあるとしたら、それほどでもない。でも、微妙な振れで観るものをゆさぶる。やっぱりすごいんだぜ。
あと、なんか機長の生活とか人格とかに問題があるやつじゃなかったっけ? と思ったら、それはロバート・ゼメキスの『フライト』という映画だった。
これもいつか観てみようか。以上。