今さら「ばかうけ」かよ、というか、『ブレードランナー2049』とドゥニ・ヴィルヌーブ的に時系列が逆じゃないかよ(←ネタバレ)というのはおいといてくれ。
実に地味でいい、おれはこういうの好きだという映画だった。はっきり言えば『ブレードランナー2049』よりもこっちがおもしろかった。そういってもいい。
ネット上で「ばかうけ」だろ、という話題になったとき、初めてテッド・チャンの「あなたの人生の物語」の映像化なのかよ、と知った。とはいえ、おれは確実に「あなたの人生の物語」を読んでいるが、内容はほとんど覚えていない(未知の来訪者に言語学者の女性が向き合うんだよな、程度。要するに作品紹介文くらい)。
「ばかうけ」が消えるシーンがあるんだけど(←ネタバレ)、その消え方が見事なもんだったな。あの消え方はよかった。長い映画の歴史でいろいろなものがいろいろと消えていったろうが、なかなかの消え方だったように思える。
イカちゃん(←ネタバレ)の墨はなかなかによかった。ただ、どうせなら(どうせ地味なら……出演者で知ってる役者がフォレスト・ウィテカーしかいなかった)、あれを言語学者がイカようにして解読したのか、その手法を現実の未知の文字の解読法なんかを取り入れてじっくりやってくれてもよかったんじゃなイカ?
くコ:彡
そんなわけで、これはわりと「ばかうけ」のスケールはでかいが、内容的には地味でいい感じのSFなのであった。実に手堅いのであった。そして、これを知っていたから、おれは安心して『ブレードランナー2049』で眠ることができたのであった(←ちーがーうーだーろー)。
Blu-ray販売版のテッド・チャン大いに語るは見てみたいが……。
- 作者: テッド・チャン,公手成幸,浅倉久志,古沢嘉通,嶋田洋一
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2003/09/30
- メディア: 文庫
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表紙が「ばかうけ」に。