バレンタインデーに関するメモ

 我々は見せかけの時の動きの中で、永遠の二項対立を続けるものである。一方を光と呼べば他方は闇。一方を陽と呼べば他方は陰である。我々は対立を続ける。我々の二項は演算もされなければ止揚もされない。時に我々の一項はモテと呼ばれ他方は非モテと呼ばれる。バレンタインデーは西暦269年にモテの運動者である聖バレンタインが殉死の際に仕掛けた巧妙な罠である。非モテの運動者であるクラウディウス二世の、反性交、反異性交遊は一瞬の勝利も得られなかった。聖バレンタインの罠は非モテ魔女狩りのごとく炙り出す。チョコレートに関与せぬ者、その者は非モテであると。モテは血と肉を引き継ぎ非モテを警戒することをやめない。モテの帝国は終滅しない。一方で非モテは血と肉を持たぬ不死の人である。神は血と肉と性交と子を持たぬ童貞であった。非モテこそ神の御姿に似せられた神の子である。非モテは不死である。その不死は偽の神と神を崇めるモテへの憎悪に寄って紡がれる。モテはジーンにより連なり、非モテミームによって連なるものである。見るがいい偽の偶像を崇めるものよ。審判の日に煉獄によって溶けるのは汝らの茶色い菓子なのか、交尾せざる純血の結晶なのか。されど警戒せよ、モテぬ者よ。天国の門が開いてもモテぬものはモテない。