その声は遠いところからきた

https://www.nhk.or.jp/kankyo/bangumi/program/p20050219.html

「樹がないところに、木が下りてきて、ささやいた。ミラーコロの、奇跡の、宇宙の、ばあちゃんたち、ね。」

 数日来頭にこびりついていたのが、上の言葉だ。たまたまチャンネルを変えていたところ、一人の男が大きなカヤノキに向かってつぶやいていた。そのイントネーションと言葉の妙に妙に打たれてしまったのだ。それがなかなか去ってくれないものだから、「ミラーコロ」で検索してみる。すると、トップに出てきたのが上のページというわけ。
 詩人の吉増剛造。名前には見覚えがある。僕の実家の僕の部屋には、現代詩のメジャーなところが抑えてあって(父が集めたものだ)、その中にあった名前だ。うーん、やっぱり詩人の言葉は破壊力があるな。やはり「歴史の水深よりさらにふかい/一〇八三〇メートルのエムデン海淵よりはるかにふかい」ところから来るだけある(田村隆一「三つの声」http://www.kcn.ne.jp/~tkia/trp/023.html)。
 よく知らないで言うのもなんだけれど、詩はこの時代において、あまり注目を浴びていないジャンルだろう。しかし、僕のようなもののところにも漏れ伝わってくる言葉の衝撃。何故だろう、なぜか僕はどうにもそんな詩人や詩が顧みられないことを不思議に思う。一方で、自分が意識してそれらに接しよう(テレビで総合格闘技を見るように)と思わないのも不思議に思う。僕らは詩の読み方を知らないのか?