さらしあげは許されるのか

http://www.chugoku-np.co.jp/NewsPack/CN2005040101000360_National.html

大分南署によると、保護されたのは同町鬼瀬の会社員佐藤里思さん(41)の長女理生ちゃん(6つ)と長男和磨ちゃん(4つ)、近くに住む会社員工藤尚美さん(47)の長女綾華ちゃん(9つ)。

 子どもが三人行方不明になり、一晩経ったら山から下りてきたというニュースである。小林薫の三倍強い変態がいたというわけではなく、山で迷っただけというので一安心といったところか。しかし、このニュースを見てふと疑問に思ったのだが、ここで佐藤里思、佐藤理生、佐藤和磨、工藤尚美、工藤綾華という個人名を出す必要性があるのかどうか、という話だ。大分県挟間町鬼瀬という地名から、住所の割りだしは簡単だろう。ついでに、それぞれの年齢まで御丁寧についている。
 たとえば、犯罪の加害者、被害者の実名報道については、さまざまなケースで議論の俎上に載せられる。「少年犯罪であれ実名を報道すべきだ」とか、「被害者のプライバシーに配慮が欠けている」とか。一方で今回の件。たしかに迷子になった子どもと、その保護者に落ち度は無いとは言わない。しかし、未成年者の子どもの名前まで全国放送の電波に乗せるほどの話かと思うのだ。
 しかし一方で、これも一種の社会的制裁だという考えもあろう。警察や自衛隊を動員し、多くの人に心配を掛けたではないか、と。なるほど、効果のほどはともかくとして、一考の余地があるかもしれない。それでも、その制裁を決めるのが、その場のマスコミだけだという点で、ちょっと疑問が残る。
 おりしも個人情報保護法の施行される今日。マスコミは、同法案から除外され、他人顔で「報道の問題が決着した後、世間一般の関心が薄くなってしまった」(http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20050331k0000m070166000c.html)などとのたまう始末だが、もう一度自らの報道のあり方を問いただすべきではないのか。
 ……などとありがちなマスコミ批判などしてみたが、「ちょっと気になった」だけの話が思わず長くなってしまった。自分がそれほどこの問題を真剣に考えていないのは、実名をそのまま平気で引用していることからも明らかで、実にいいかげんな話ではある。