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送料手数料無料の数あわせとして、上の『グエロ』とともに買った一枚。何せ新品が五百円だ。……というだけではない。リズ・フェア（自分の記憶では「リズ・フェアー」だったような気もする）だ。その存在を知ったのは、はるか昔のrockin'onだった。インタビューや記事を読んで、「なんかエロそうでいいな」と思ったのだ。そして、一度「エロ」が男子中高生の脳に刻み込まれると、なかなか離れるものじゃない。以後、どんな音を出すのか、どんな顔なのかも知らないまま、「中古で見つけたら買うリスト」の中にあり続けたわけだ。
して、長年探し求めたリズ・フェアはどうだったか。これがいいんですよ。古い記憶ではマドンナの肝いりだとかなんだとか読んだ覚えがあるけれど、このアルバムを聴いてまっさきに思い出したのはジョニ・ミッチェルだったりする。シンプルな音の中に存在感のある声。何やら皮肉な調子の毒も含んでいるようで、それもたまらん。
検索してみたら、去年か一昨年だかに、実に「エロい」ジャケットのアルバムを出したみたいだけれど、俺はしばらくこれを聴いていよう。こういうあまり個性のない、といってはなんだけれど、シンプルで確固とした女性シンガーは好きなんだ。逆に男性シンガーの場合は、曲でいろいろやってもらった方がいいと思うから不思議だ。ここらあたり、うまく表現する術がなくてもどかしい。
