『無罪モラトリアム』『勝訴ストリップ』/椎名林檎

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 エロDVDを見ていたら(というのも凄い書き始めですけれど)、女優の子がカラオケをするシーンがあって、その真剣に唄う姿がなんとなく好もしいと思ったのです。そして、その曲がとても気になったのでした。何せカラオケをハンディで撮っているだけのものですから、歌詞もメロディもはっきり聞こえません。辛うじて聞きとれたのが「税理士」「絶頂」「ピザ屋の彼女」でした。この三題噺から私の脳が導き出した名前は、椎名林檎でした。さっそく検索してみると、果たして椎名林檎だったのでした。そこで私は椎名林檎を聴く機会が訪れたのかな、と思ったのです。
 そもそも私は貧乏人ですので、邦楽のアルバムを新作で買うには余程の度胸が必要です。それでも、ここで買わなかったらいつ手にはいるかわからない、と思えるものは買うしかありません。しかし、気になったものが流行曲となりますと、途端に安心してしまって「これだけ売れたら中古でたくさん出回るから、いずれ安く買えるだろう」となってしまうのです。椎名林檎もその「いずれ安く」袋に入れられていた一人だったのです。
 というわけで、1stの『無罪』、2ndの『勝訴』を購入したという次第です。お目当ての曲は「丸ノ内サディスティック」と判明していたから1stだけでよかったのですが、2ndの値段が二百五十円だったので買うしかありませんでした(購入はe-bookoff)。そして、この二枚を聴いて「思っていたよりずっとロックロックしてるんだなぁ」と思ったのでした。しびれるほどカッコイイ。
 しかし、1stと2ndでは多少評価が異なります。もちろん私は椎名林檎ディスコグラフィーといいますか、曲調の変遷だとか、あるいは彼女の発言などは皆目知りません。それでも、パッと二枚聴いた現時点の印象では、1stが2ndを二馬身、いや、二馬身半くらい先着したという感じなのです。往々にしてデビューアルバムは独特の輝きを持つものですが、椎名林檎もその例外ではないのかな、と思った次第。「歌舞伎町の女王」、「丸ノ内サディスティック」、「モルヒネ」、素敵じゃないですか。あるいは「ここでキスして。」の「〜厭よ♪」のあたりに刺されてしまいます。2ndの方が完成度といいますか、そういったあたりがカチッとなっていたのですが、むしろ私は未熟さというか、乱雑さにおいて1stを推したいと思うのです。出てきたときのボブ・サップと今のボブ・サップ、みたいな感じです。しかしもちろん、2ndもじっくり聴いていきたいと思っています。
 さて、話は戻りまして冒頭のAVに。果たしてAV女優嬢は何を思ってカメラの前で「丸ノ内サディスティック」を選んだのでしょうか。あらためて見返してしまいました。ここらあたり、何やらグッとくるものがあります。何がグッとくるのかよくわかりませんが、氷高小夜のラップを知ってるかい? と。まあ、それは関係ありませんが、2010年頃には東京事変とやらもチェックしてみようかと思う次第なのであります。