『攻殻機動隊』(1)/士郎正宗

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 映画二作と二巻を経て、ようやく一巻を読んだ。そういう下地があったお陰なのかどうか、十分なボリュームを実にすっきりと読むことができて、満腹の一冊となった。下地といえば、 ロバート・J・ソウヤーの『ターミナル・エクスペリメント』(ASIN:4150111928 これも無茶苦茶面白い)を読んでいたりしたのがよかったか。しかし、『ターミナル〜』ですら発表が九十五年なのだから、その五年前からこれだけの作品を残す著者はスゲェ。さすがに世界規模の何かを巻き起こす作品だけはあるな。もちろん、その前にも確固たるこういう流れ(サイバーパンク?)はあるんだろうから、それは今後の楽しみだ。
 しかし、そういったサイバー部分も面白いけれど、警察物的な要素がとてもよかったな、と。プロテクをうまいこと匂わすような、そういうあたり。ここら辺が中心になってるのが、アニメ化されてるあたりで、サイバー思想系が映画の方に抽出されたんやろか。まあ、それらがちょうど良くミックスされてるこの一冊は、それだけ魅力的だということなだろな。
 いや、しかし今更ながらの今更の作品も読んでおくものだな。つーか、人が一生に読める本の量は決まっているから、新しいものばかり追っていくわけにもいかないか。まあ、いずれにせよアニメ版をどうにかして見たいものだが、さて。