『刑務所の前』第1集&第2集/花輪和一

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 やっと第2集を古本で手に入れられた。第1集を読んだのは……と、日記に検索をかけたら出てこない。たしかにたくさん書いた覚えがあるのに、これは不思議としか言いようがない。あるいは、これほどの作品なだけに、感想文を書くのにたじろいだのだろうか。いや、それほどの漫画ですよ、これは。
 話は文字通り『刑務所の中』(id:goldhead:20050825#p1)の前の話。すなわち、作者が銃刀法違反でパクられるまでの話である。ところが、これが一筋縄ではいかない。ボロボロのガバ(だけど本チャン)の修復作業を描きながら、次のコマでは中世の因業話に飛び、気が付くと刑務所の中の話になっている。ここまで融通無碍に世界を展開させていく漫画は今まで読んだことがない。幾分か作者の「罪を語るのは恥ずかしい」という面もあろうが、そんなのもテイストのうち。これほどのアクロバットが、実にビタッと決まっているのだ。いやはや。
 第2集ではいよいよ拳銃の入手あたり、かなりの核心に近づいてくる。それに、密教僧の加持祈祷のシーンなんて、ほんとにもう、なんというか言いようがない良さだ。さらには、作者自身と母親のエピソードらしきものまで垣間見られ、この因業世界がどうなっていくのかますます注目だ。……とはいっても、第2集から一年以上経って読んでるんだな、俺は。まあ、『刑務所の中』から花輪をしっかり読み始めたのだから、とりあえずこれに周回遅れで付き合っていくのみ。これ以前の作品に関しても、またいずれ、絶対に。