反東京宣言

 俺は金曜日の日記(id:goldhead:20050819#p3)で「東京はこわいところだ」と茶化して書いたりもしたが、すっかり忘れていた。俺は東京に弱いのだ。東京というか、都会の人間だ。俺は都会の人間が苦手だ。人間の群れが苦手だ。俺はあれだけの人間が全体として無目的にわらわらしているのを見ると、なんだかもうとても疲れてしまう。おまけの街の情報量だ。情報量の多さだ。ランキングサイトへのバナーでいっぱいになったアダルトサイト並みの情報量だ。俺の生物的ブラウザはハングアップしてしまう。都会には何もかもうんざりさせられる。だいたい、この都会が苦手だということが大学をドロッパウトした原因の一つにもなっているというのに、なんで忘れていたのかな。その頃から、いや、もっと子どもの頃から、俺が人混みに気持ち悪くなると、同行者は心底同情してくれたものだった。それほど俺は都会と人混みに弱い。
 ああ、そして、俺は思う。今、この日本という国に何かしらの悪い部分があるとすれば、それは東京のせいだ。この街の悪い粒子を吸い込んだ人たちのメディアが、ここから日本全土に向けて悪い放電をする。このろくでもない空気の悪さ、焦燥と疲弊、欲と悪が、国を覆って皆イライラして嫌な気持ちになる。
 ……こんなわけのわからぬことを考えてしまうのも、渋谷に降りたのが悪い。俺は湘南新宿ラインから降りるべきではなかった。そのまま、ラインの果て籠原まで行くべきだった。籠原には黄金の沃土と蜜の流れる河があるだろう。俺はそこで黄金羊毛を手に入れて、山の中に立ち返る。俺は籠原が何県にあるかも知らないが!