HTB杯&オールカマー&神戸新聞杯

 まずは札幌のHTB杯だった。俺は大外の軽ハンデ馬ニシノニチリン単勝を買った。鞍上は津村だ。スタート後、外からスーッと主導権を握る。いいぞ。三角四角、余力あるぞ、いいぞ。直線、「がんばれ」と声が出た。が、コンドルクエスト以下にゴール前に飲み込まれた。フジテレビの福原直英アナは、ハートランドヒリュの三着を強調していた。好感が持てる。ニシノニチリン単勝は二十七倍だった。
 次はオールカマーだ。エイプリルステークスみたいなメンバーだ。俺はパドックなども見た上でエルノヴァを買った。逃げるはずのコイントスが出遅れた。大西直宏サンライズシャークが逃げる。サンライズシャークが、だ。申し訳なさそうにコイントスが押し上げるが、ドスロー。こういう競技みたいな感じで、一団四角。俺の目はエルノヴァを追っていた。エルノヴァはもうちょっと前に居たかったのではないか。窮屈なところから男馬にサンドイッチされてコーナーを回る。そこから良い脚を使ったが、時すでに遅し。ちょっとした位置取りで、この妙なヨーイドンも勝てたんじゃないかと思いたい。勝ったのはホオキパウェーブで、このメンバーの重賞として、辛うじて先のある結果になったか。しかし、寂しいなオールカマー。あるいは、菊や秋華賞を目指す馬も、ここで賞金稼ぎしてもいいんじゃないか。
 そして、神戸新聞杯、というかディープインパクト。俺は前日から宗旨変えして、ディープインパクト一着流しで相手は新興勢力のマチカネキララトウカイトリック、そしてやはりシックスセンス。アホだった。ローゼンクロイツで良かったのだ。しかしまあ、三連単でも五千円行かない配当なのがせめてもの慰みか。シックスセンスは着狙いではなく早めに動いて新境地。やはり実力上位を見せつけた。しかし、マイナス十キロの馬体重もそうだが、レース前の話とは別に仕上がっちゃってるように見えた。気のせいか。ローゼンクロイツは終わった後突っ込んできた印象だったが、春のクラシックで勝負の外にいた分、上積みがあるのかもしれない。
 さて、ディープインパクト。やはりこの馬の魅力は三角から四角。「スーッと」という擬音そのままに先団に取りつく、あの異次元の通り道。馬の魅力はいろいろあって、テンの速さ、けれん味のない逃げ、直線一気の豪脚、などなどいろいろあるけれど、これは何と評したらいいのだろう。「まくり」というには、あまりにも楽に上がって来すぎる。名前は「衝撃的」だが、どちらかといえば幽霊ののように怖い馬だ。いやはや。
 というわけで、無敗の三冠馬へ視界よしというか、この馬にかかっては「無敗の三冠馬」すらちっぽけに思える。過大評価……かもしれない。でも、強い馬が強い間に盛り上がらないなんて、もったいなくてできるわけがない、貧乏性な俺なのだ。
 貧乏性なのはいいが、貧乏の方はよろしくない。人から見ればささやかな馬券の楽しみも、俺のひもじさの中ではささやかな負けではない。そういう意味で助けてくれたのはこの日の最終の柴田善臣。中山の千二か千八のヨシトミは買える。……ような気がする。無論、条件戦で。