流れよ我が涙、とウィラポン・ナコンルアンプロモーションは言った。

 テレビでボクシングをやっていた。というか、新井田が防衛成功した場面だった。新井田の名前と、一旦チャンピオンになって、いきなり引退→復帰のことくらいはスポーツ紙を通じて知っている。しかし、俺の格闘技好きはあくまで「ミーハー」の8バイトで成り立っているので、ボクシングになかなか興味を持てない。世界タイトル戦ともなると、何やら高度すぎていまいち見どころがわからないのだ。しかし、この日は見どころがあった。時間の都合か何か知らないが、前座試合も放送していたのだ。そういえば昔、弟が人に誘われて川島郭志の防衛戦を見に行ったことがあった。帰ってきて何の感想を多く話したかといえば、「前座試合が街の殴り合いみたいで面白かった」ということであった(もちろん川島のかわすテクニックについても語ったが)。
 で、この日の前座試合。まずは「高校六冠王者」、「十年に一度の逸材」なる粟生隆博さん。それがどれだけの実績なのかボクシング門外漢にはよくわからない。けど、この名前は亀田三兄弟の話題を追っていると、ちょくちょく見る名前だ(階級は違うらしいが)。なるほど、この人か。この日の対戦相手は韓国人の若手。スリップっぽいのをダウンに取られたけど、圧倒していた。圧倒的じゃないか。しかし、この粟生氏がどれだけ強いのかわからないのも確かなのであった。
 次はすごいアマチュア実績の中量級らしい人。ラスベガスデビューで凱旋帰国とか言ってる。それがどれだけの実績なのかボク(以下略)。そして相手は、またもや韓国人。……なのだが、さっきの粟生さんの相手がそれなりに雰囲気があったのに対し、こちらの相手はある種の雰囲気があるタイプ。ハゲにヒゲでチビのオッサン。俺はボクシング門外漢(中略)が、これが「かませ犬」というものなのだろうか。もしそうだとしたら、見事な仕事っぷりだった。よくがんばった。しかしこれも、ボクシング門外なのでどの程度のレベルの試合なのかまったくわからないのであった。
 そして、さらに輪を掛けてわからないのが、連続1RK.O.記録保持者相手に、1R立っていられたら100万円試合。ボクシングってこんなのあるんか? で、これがボク外としては非常に楽しめた。ある種、残酷なショーを楽しむ感じかも知れない。相手の人も、決して逃げ回るだけでなく、男気を見せた。試合後、挑戦者のセコンド(?)が、相手選手に喧嘩売ってたのが男気かどうかはわからないが。しかしこれも、このもの凄く強そうに見えた1RKO氏がどれだけの力量なのかわからないのであった。
 と、わからないばかりだが、俺みたいのには、タイトルマッチより……などと書きたいところだったが、‘ウィラポンを倒した男’長谷川穂積王者の戦いには見入ってしまったので、まあ、なんだ、やっぱ格闘技は面白かったなあということで、一つ。