俺は種を見ると植えたくなり、茎を見ると挿し木したくなる類の人間である。だから、サラダにして喰った貝割れ大根の中の一本や二本や三本を植木鉢に挿してみるなんてのは日常茶飯事である。そんな運命のいたずらを知ってか知らずか、それともやはり我関せずという感じで貝割れ大根は生長する。俺は勝手に植えた手前もあるので、水とわずかばかりの肥料は提供しよう。やがてすくすく伸びて花を咲かせたりして、鉢によって花の色が真っ白のとうすむらさきがかったのに分かれたりして面白く思う。もし土の中に大根ができていても、食べる気はしないので放っておいて次の気まぐれの肥料にする。
