美しい日

 年度末の三月三十一日が金曜日だというのは、この上なく美しいように思われる。年の始まりでも終わりでもない「年度」の境目であり、週の始まりでも終わりでもない「金曜日」という境目が合致しているからだ。したがって、これに続く始まりに関してはあまり美しくない。しかし、たとえ美しい新年度の始まりがあり、新たなる生活が始まる人がいたところで、それまで美しく生きてきた人には美しい新年度がはじまり、それまで陰鬱に生きてきた人には陰鬱な新年度がはじまるだけの話なのである。それまで美しく生きてきた人には美しい朝がはじまり、それまで陰鬱に生きてきた人には陰鬱な朝がはじまるだけの話なのである。