ワールドカップ総括

 俺は今回のワールドカップを見ながら、ある程度自分のサッカー観……というとあまりにレベルが高すぎてちょっと違うか、少なくとも自分のサッカーに関する嗜好を理解したいという目標を立てていた。たとえば、競馬場にはじめて行った人が、一日のレースを通して「逃げ馬が好きか、追い込み馬が好きか」くらいの自覚を抱くといったところ。
 が、結局俺はその目標に到達することができなかった。チームとして応援していたのは日本とアルゼンチン。俺のアルゼンチンびいきは、「昔、ウイイレで使ってた」、「テベスがいる」、「五輪、コンフェデ杯の結果にもかかわらず、本番前に急にオッズがあがってきていたので買い」といったところ。その実、どんなサッカーが展開されるのかは知りもしなかった。
 そのアルゼンチンのサッカー、俺には最高に面白かった。対セルビア・モンテネグロ戦(id:goldhead:20060617#p1)はできすぎとしても、対メキシコ戦(id:goldhead:20060626#p1)、対ドイツ戦(id:goldhead:20060701#p1)も最高だった。
 だが、それでは「テレビ番組で武豊のファンになった人が、武豊を見に行って、武豊に満足した」というところ。アルゼンチンの、テベス、メッシ、サビオラリケルメ、ソリン、マキシ・ロドリゲスなどなどなどに魅了されただけかもしれない。別にそれが悪いなんてことはこれっぽっちもないけれど、このたとえで言えば、せめて武豊のスタイルについて知りたいと思っていた俺には不十分なのだ(では、武豊のスタイルは? となると……「オールマイティに巧い」くらいしかいえないけれど)。
 しかし、スタイルで俺を魅了したチームもあって、それはエクアドルだったり、メキシコだった。それらの試合は面白かった。こうなると、やはりヨーロッパとその他、ということになるのだろう。ヨーロッパと中南米となると、スタイルも違ってこようが、今の俺にはその違いが説明できない。単に俺の中の秘められた反ヨーロッパ感情が出てきただけ、という可能性すらある。
 そして、最後の方はヨーロッパの強豪の対戦となり、なんとなく興味が薄れて終わった。ジダンクリスチアーノ・ロナウドのテクニックが南米選手のそれに劣るはずもないだろうし、ガットゥーゾカンナバーロの守備がマルケスアジャラに劣るはずもない。そこに雰囲気以外の違いがあるのかどうかすらわからない。それがなんとも口惜しいが、俺の理解はその程度なのだから仕方ない。なぜ、中南米に興味を持てて、ヨーロッパには持てなかったのか。それを知るには、やはり基礎の基礎から勉強していかなければならないのだろうか。まあ、四年後までの宿題だ。あるいは、今回どういうチームだかこれまたわからなかった日本代表が、オシムによって形を与えられていく過程も勉強になるかもしれないしな。

追記:日本代表について、ってエラソーに何か言うことがあるわけじゃあない。けど、あれだ、昨夜、ちょっとだけ中田英寿の引退後インタビューやってたけど、そのあとにセルジオ越後が言ったのが正しいんじゃないのか。「中田以外の選手も、ジーコも、協会もどんどん発言して総括すべきだ」って感じのこと。まあ、メディアが中田に集中しているだけで、どこか専門的なところでは関係者がいろいろと発言しているのかもしれないが。もしも中田+その他の選手が朝まで討論でもすりゃ、ぜひ見てみたいもんだが、まあ、下衆なやじ馬だな、それは。