内なる死闘! スミルノヴァスvs良心

HERO’S 2006〜ミドル&ライトヘビー級世界最強王者決定トーナメント準々決勝〜
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/other/live/200608/05/index.html
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/other/headlines/etc/20060806-00000036-spnavi-spo.html

前田日明SVが桜庭戦に苦言「これは殺し合いではない」

 ボクシングに負けていられるかとK-1が意地を見せた大会だった。……というのは皮肉だけれど、好試合とひどいのの落差があった大会だった。同じTBSということで、こういうのがこの局の色なのかもしれない。いやはや。
 まずはなんといっても桜庭和志。途中から、見てはいけないシーンに入ったかとも思える展開。スーパーマリオの裏面に入った感じというかなんというか。崩れ落ちたシーンで止めないのはまだ許せても、その先で一発、二発、三発、延々と入ったら止めなきゃだめでしょ。ロープ際だからって位置立て直して再開ってのも、ほとんど殺人技。あそこまで意識の無さげな人間をむちゃくちゃ打ちのめして、さらに止めをさせってのは酷。関節技にタップしないやつの腕や足を折るのとは違う。ああいう状態の人間の意識を断ち切ろうというのは、殺せというようなもんじゃないのか。レフェリーにとめそうな空気も無く、これでは心も折れるだろう。で、結局は主催者がわに望まれるような結果になったわけだが、本当にえらいもんを見せてくれる。あの状態で体を動かした桜庭はえらいけど、ファンだってそういうものを見たいわけじゃあない。
 一方で、規模は違えど「亀田」級のプロテクトを受け続ける秋山成勲。俺の嫌いな数少ない格闘選手の一人。今回のマッチメークも例に漏れないものだったが、しかし、あるいは過去再大の強敵だったかもしれないな、金泰泳。まずはワセリンで出てきてヌルヌルをからかったのかどうか。まあ、それはいいとしてもラスト。あれ、すぐに「効いてなかった」というリアクション。主催者側の意図をくめば、むっちゃ効いたふりをするところ。それをしないで、秋山に赤恥かかせる。会場に沈黙とブーイングを起こす。これはすごい対秋山攻撃。でも、極まってなかったのが本当なのだから仕方ないか。正直、完全に極まっているのかどうかそのときには判断つきかねたわけだけど。しかしまあ、ここまでになってくると、誰かがものすごく秋山のことを嫌っていて、悪い方、悪い方へと勝たせ続けているようにも見えてくるよ。しかし、秋山は何に対して反骨なんだろうね。面白い試合を見たいと思う視聴者や観客への反骨心だとしたら、それはもうすごい反骨と言わざるを得ないが。
 で、よかったところもメモしておこう。所英男vsアイヴァン・メンジバー。メンジバーについてはどこかでちょっと詳しい紹介を読んでいて(忘れた)、ちょっと楽しみにしていた。したら、小柄でごつく、パワーに溢れながらも寝技対応上手し。所もさすがに名勝負製造機とでもいうのか、最後の最後まで極めにいこうとするが、メンジバー巧みに逃げ切る。
 一方で、寝技で一発逆転を決めたのが宇野薫宇野薫と言えば、先日駅で見かけた(id:goldhead:20060802#p2)かもしれないということで肩入れしていたのだけれど、ブラックマンバもいい選手。というか、面白い選手。色物とスタイルと強さがマッチしている。長い手足でぶらぶらとカウンターを狙うさまは、漫画『はじめの一歩』の間柴のよう。それで、もう飛び込みに右膝狙い見え見えで、宇野とて歴戦の強者だからそれも承知の上で、承知の上で突っ込んだところにヒットさせる。それであの、パンチの回転の速さ。見ていて面白いわ。正直、もっと見たいって思ったわ。でも、宇野の勝利もうれしいわ。しかし、宇野って顔切れやすいのかな。面の皮って鍛えようあるのかな。なんか、切れやすい人は不利だな。まだまだできんのに、試合止まっちゃうしな(KIDとの対戦でTKO時、顔を見合わせるシーンがなぜか好き)。カットさせるのも技の内かもしれないけどな。あの、ミルコとやったときのドス・カラスJr.みたいな簡易マスクはだめかな。やっぱ駄目か。
 あとは、高谷裕之を秒殺したJ.Z.カルバンの家族愛飛び膝蹴り。えっぐいわ。どつきあいもうちょっと見たいとも思ったけど。それと、えーと、アレッシャンドリ・フランカ・ノゲイラが出てたのか。テレビじゃいっさいやんなかったな。実力者じゃないのか? で、えーと、ライトヘビーの方は、対戦発表時の「なんだかなあ」感がいっさい拭えなかったが、ミドル級の方は楽しみに。プライドのおこぼれを地上波で拾い食いできない今となっては、頼みの綱だからな。