凱旋門賞

goldhead2006-10-02

 勝っても負けても自分は饒舌になるものかと思っていたが、終わってみればそんなこともない。無茶苦茶緊張して、テレビの前で正座して、身振り手振りで念を送り、それでも負けて。それで、見てのとおり、あれが競馬だ……というばかり。でも、メモはしておこう。
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 ディープインパクトは一回り大きくなって、精神力も成長したように見えた。シャンティの環境が馬によかったのではないかと思った。日本のトレセンでいくら人智を尽くしても、あの森にはかなわないところがあるのかもしれない。
 レースは予想通りのスロー。ディープは菊花賞なみのスタート。あるいはハナかと思わせる二番手から。シロッコと入れ替わる。結果的に、ハリケーンランを閉じこめる形に。俺は、ディープがこのハリケーンランのような立場になるんじゃないかと危惧していた。ところが、逆に外から封じた。これは好プレーだった。ファーブル師は「他馬はフェアだった」と言っている(http://uk.sports.yahoo.com/01102006/2/photo/rail-link-foils-arc-favourites.html)のでファロンのミスとも言えようか。
 直線、先頭並びかけて絶好の手応え。もったまんま。ライバル二強は姿なく、襲いかかるのはレイルリンク三歳馬。抜かれ、抜き返され、さらにねじ伏せられる。最後方からプライドが突っ込んできて、ディープ三着。
 スローから上がりの追い比べになって、斤量差が出たか。それとも、ディープインパクトマークがはまったのか。いや、世界の壁と思おうか。武豊は最後のギアが入らなかったと言ったが、武が言うのならばそうなのかもしれない。世界に十何頭かくらいのスペシャルな馬の一頭としての力は見せてくれた。
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 俺の見た目に、武豊にミスはなかったと思う。無理矢理最後方まで押し下げて今までの競馬をさせようとして折り合いを欠いては元も子もない。あるいは今回のプライドのような競馬を狙うような立場の馬でもない。それにもし、ディープインパクトが別の競馬をすれば、ほかの七頭もそれぞれまた別の競馬になり、別の結果があろう。だから競馬にタラレバはないし、無限のタラレバがある。
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 ディープインパクトをもってしても、「日本馬でも勝負になる」段階は脱することかなわなかった。しかし、勝負には負けもあって勝ちもある、挑み続ければいずれ勝てる。ディープにしたってヨーロッパ競馬は初めてだったしな。

 しかし、武豊に悔いは残るだろう。合田直弘のワイドショーのレポーターのようなインタビューを振り切るあの後ろ姿。あの背中は、ふだんファンに絶対に見せない背中だ。あと、印象悪かったけど、合田は仕事だったのだから運が悪い。あと、岡部幸雄の「まだまだ!」はよかったな。JRAとアドバイザリー契約を結んだというが、スーパー競馬の大川さんの空席に座って欲しい。あと、この日のスーパー競馬は三宅アナと井崎脩五郎の二人体制だったけど、ふだんよりよかった。
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 競馬をふだん見ていない人も大勢見たんだろう。中には、ディープや武豊の人気者っぷりに反感を抱く人もいるかもしれない。だったら是非、レイルリンクのことを調べてみてもらいたい。あるいは、それまで唯一ディープに土をつけたハーツクライのことでもいいし、一歳年下の、たたき上げで地味なメイショウサムソン石橋守のことを。競馬・イズ・フリーダムや。おまけに、ディープに馬券で逆らえばお金も儲かる。悪くない話ですよ、奥さん。勝ったときのうれしさも大きいし、負けたときは自分の負けと思って抱え込んでみてください。