悠々自適、桑田真澄

http://hochi.yomiuri.co.jp/mlb/news/20070302-OHT1T00092.htm

しかし、これは“計画的被弾”と本人は言い

 アメリカに旅立ってしまった桑田だが、これは今までになかったような雰囲気だ。江夏豊が死に場所を求めて海を渡ったのとも違うし、メジャーへの執念から野茂英雄が日本を飛び出したのとも違う。期待に包まれてイチローや松坂が出ていったのとも違うし、木田や岡島、大塚といったあたりが行くのとも違う。なにかこう、そういったところとは一線を画している。一段上というか、そういう次元にはいないって雰囲気。仙人かなにかのようですらある。もちろん、本人の中にはもっと若い頃に挑戦できなかった忸怩たる思いもあろうが、そういった悲壮感はあまりない。心底アメリカの野球を楽しんでいるように見える。テレビカメラの前で「まだまだ夢がある」という屈託のない表情には、いろいろな縛りを吹っ切ることができた人間の自由がうかがえる。ホームランを打たれて「わざと」といっても、負け惜しみには聞こえない。
 俺は、桑田には野球伝道師になってもらいたいなどと思ったこともあった(http://d.hatena.ne.jp/goldhead/20061031#p1)が、いや、アメリカ行きは正解だった。日本にはいろいろな助っ人外国人が来たが、こういう桑田のような選手がアメリカに行くのも面白い。なにせ、日本野球史の中の小さからぬ存在そのものだ。それが、吹っ切れて行く。当然、力足らないかもしれない。だが、何か印象は残すだろう。それが面白い。アメリカへの伝導だ。もちろん、そのまま旅は続けてもらいたい。いや、あくまでメジャーが最終目標なのかもしれんけれど、たとえば中村紀洋が世界をさまようよりは日本野球の評判も高くなるだろうってね。