『競馬無敵の「孫子流21攻略」』清水成駿

競馬無敵の「孫子流21攻略」 (ベスト新書)
 俺の頭の中の大部分を占めるものといえば競馬で、競馬が俺の頭の中の大部分を占めると俺が言い切れるのも、馬券に興味を持ち始めたとき、たまたま最初に一冊買ったのが清水成駿の本だったわけで、俺の競馬のはじまりは清水成駿と1馬、1馬のスーパーショットと孤高の◎なわけで、1馬から清水成駿が去ったときはショックだったし、最近では内外タイムスをやめて東スポに乗り換えたのも清水の予想があるからだし、ともかく俺は、何度も言うように清水信者といっていいだろう。
 そういう俺なので、新しい本が出るとなるとやっぱり買わざるを得ないところがあって、迷わず買った『競馬無敵の「孫子流21攻略」』、21の格言なり戦法なりが並んでいるのかと思ったら、有料サイトの予想21本、これがメーンというわけで、そういえばあのサイト、初期の頃は終わった予想文を後に無料公開してたけど、やめたっけなとか思い出した次第。
 それでその予想文、21本の大当たりが並んでいるわけでないところが潔いというか男らしいというか、まあそんなわけなんだけれども、やっぱり清水の魅力といえば孤高の◎(昔の本では「孤高」だったと思うんだけど、最近は「孤独」になってるね、俺は孤高を使うよ)とならんで、短い専門紙のコーナーでも競馬と関係ないところから入るあの清水節、東スポの一面でいきなり中国の故事を持ち出して、世相を絡めて競馬予想のあの文章なわけで、まったくもう俺はそれが好きでたまらんのだけれどもね。
 で、清水信者の俺が最近どういう風に馬券を買ってるかといえば、亀谷正継のnetkeibaの連載の影響(よく考えたら、内外タイムスの大レースで、この人の血統表が裏一面はってたこともあったっけ。その時は気にしなかったな)から、直近のレースの上位馬の父馬、母父馬見て、血統のイメージから買うのはどうかってところであって、自分なりにそれなりに的中率と回収率の向上を感じているんだけども、清水もこの本で血統について語る部分がある。

 シンプル。つまり、格言的に覚えればいいんだ。「雨が降ったらこの産駒」とか、「時計勝負になったらコレ」といったように。

 血統は、こういった大雑把な認識でいい。すぐには役に立たないかもしれないが、積み重ねた認識は自分の血となり肉となる。インスピレーションは、何もないところからは浮かばない。浮かんでくるのは、こういった積み重ねがあるからなのだ。

 そう、そうだよ、まさに俺もそう思うよ、最近の俺に足りなかったのは、そして必要としているのは、「この」とか「コレ」とかの積み重ねなんだよって、「ラグビーボールの左回り」だけでホオズキの穴馬券を獲ったあの感覚なんだよ。
 ところで、やっぱりそれはサンデーサイレンス後の、サンデーサイレンス一色ではない競馬に立ち向かうためのものであって、サンデーサイレンス全盛時に「サンデーばかりで競馬がつまらない」という意見には「そうかな? そう思いたいだけなんじゃねえの?」とか思ってた俺も、ここのところ感じるのは、ちょっと前より今の出馬表の方が面白いってことで、ひょっとしたらやっぱりサンデー一色ってのは、そりゃあ日本競馬のレベルアップとかそういう大局的な視点は別として、馬券推理から面白い要素を少し損ねていたのかとか思うけど、たとえば牝系重視の人からはあまり関係ないかもしれず、その億通りの解釈が競馬の魅力ってのは間違いないな。
 それはそうと、清水の本と言えば大局的な競馬界の流れに触れるのもおなじみで、今回も今後の馬主の流れやなんかについて触れているし、種牡馬ディープインパクトについての予想なんかもあって、確かいつかの本では「サンデーサイレンスは早稲なだけかもしれない」とか書いてたっけとか思い出したけど、まあ、そこんところで下手に逃げてぼかすよりかっこいいじゃねえのって思うわ。
 まあ、この本、清水信者以外の人が買ってどうかというと、俺は清水信者以外の人ではないからなんとも言えないけれど、著者自身も言う一貫したテーマ、「走らせる側の立場に立って考えること」、それに触れたことのない人にはいいんじゃねえかと思う。
 あと、清水のサイト、俺は有料予想買う金なんてないし、まあ、あんまり買いたいとも思わないのだけど、無料会員となって記事読み放題なのが魅力で、‘ダービーニュース本紙担当’長谷川仁志や‘西の仕掛け人’上田琢巳の長めのコラムなんかも読めて、おまけにうるさい広告はないし、滅多にメールも送ってこないし、実にありがたいって、ずいぶん前にも書いたけど、まあ、ええことよ。
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