見よ、この知性しか感じられない筆跡のメモを。俺の春の天皇賞はここに記した通りであって、久々の、久々の馬券における勝利である。大勝利である。間違っていたのは世界の方だ! 単勝、最後の最後に買い足した単勝、馬連、三連単、おいしゅうございました! 岩田よ岩田、岩田康誠よ、俺もむっちゃうれしいです!
……と興奮したところで詮無きこと。うまく勝ちに至った経路をメモしておいて、やがて活かそう。活かせるものだろうか?
アドマイヤジュピタはなんとなく念頭にあった。アルゼンチン共和国杯のときに、母のジェイズジュエリーをPOGで持っていたということに気づいたが、それはともかく前走の阪神大賞典。この勝利で「いける」と思ったってのはある。フレンチデピュティの2マイル越えだ。なあに、メガスターダムの親父がなんだったか思い出せ。そして、ポストサンデー時代に、母父サンデーだの母父トニービンだの言われている時代に、偉大なるステイヤー種牡馬リアルシャダイを思い出せ、ということだ。……が、亀谷敬正の次のコラムが気になった。
2桁人気で馬券になったのはこの3頭のみだから、天皇賞春の大穴は欧州的なスタミナの血ではなく、ミスタープロスペクター系に代表される「米国的な血」がカギになる。ミスタープロスペクター系はダートの主流血統だから「ダートGI勝ち馬も出している父か母父で、なおかつ、父か母父がターントゥ系かリファール系の馬」というアプローチも成りたちそうだ。
http://www.netkeiba.com/news/?pid=column_view&id=AJ01
今年でいえば、トウカイトリックはすでに3着に走っているので、フレンチデピュティ産駒のアドマイヤジュピタ、フジキセキ産駒のドリームパスポートがこれに該当する。とはいえ、アドマイヤジュピタが欧州的な考え方の距離不安説で人気を落とす楽しみは、前走の阪神大賞典で終わってしまったのだが。
これをどう捉えるか。「人気を落とす楽しみ」は無くなったが、かといって大きく否定するものではない。人気でも行くべきだろう。おそらくは一番人気……と、蓋を開けてみれば六倍〜八倍前後をうろつく三番人気。まだ舐められてる。東スポの馬柱でも最高で▲で無印もちらほら。
さらに、俺の自信を支えてくれたのは清水成駿。清水を見るためにわざわざ大井開催時の川崎イベントに出向くくらい清水信者の俺である。これを参考にせずに何を参考にしようか。清水曰く「フレンチデピュティ産駒の天皇賞馬というのは想像できない」とかなんとか。なんでかわからんが、これは「買い」だと思った。なんとなくだけれど、清水が曖昧な根拠で評価を下げてたり、無印表明する馬は、逆に来る予感がする。
……などと逆神扱いばかりするのは気が引ける、というフォローではないけれど、馬単三國志で大いに参考になった部分もある。アサクサキングスについてだ。曰く、今まで人気薄での好走を身の上としてきたアサクサに、天皇賞一番人気は重すぎる。そもそもレベルが低い、低いと言われ続けた世代でなかったのか、と。確かにそうだ、アサクサキングス一番人気というのは想像もしていなかった。そのラインで行こう。そういうわけで、アサクサに菊花賞でやられたホクトスルタンは当然軽視。アドマイヤジュピタの相手は古馬勢(まあ、明け四歳だって古馬だけど)から行く。
で、その古馬でどこから行くか。そこで一番手に選んだのがドリームパスポート。転厩後は冴えないが、大負けしているわけでもない。無欲の追い込み、けたぐりこそがこの馬の持ち味と、たしか東スポ館林。それを読んで、なにかファストタテヤマのようにぶっ込んでくるドリパスの姿が目に浮かんだ。続いて古馬からアンカツのアドマイヤモナーク、そして、あまりに評価落ちがはげしいメイショウサムソン。なにかもう終わったような言われ方だけれど、ライスシャワーの二度目だってそんなもんだったぜ。ほかに気になるベテラン勢、ポップロック、アイポッパー。清水はポップロック本命だったが、俺はこの馬結構買ってきて、案外だったし、勝ちきるまであるかというと無さそうで。それに、清水が「この馬こそステイヤー」的に推しまくってるのが、やっぱりこのところの天皇賞・春の傾向の裏を行ってるようで。アイポッパーは西の上田が推していたので。あとはアサクサ、馬連一番人気なのが面白くないけれど、これは押さえる。ここまでが三連単ライン15点。ホクトスルタンは迷ったが、アサクサの評価から計算して、三連単から切る。でも、アドマイヤフジとともに一応馬連で押さえ。
あと、さらに補強材料があったっけ。中央競馬ワイド中継、岩田と調教師のインタビュー。調教師曰く、「岩田がこの馬で年度代表馬って言ってた」とか、岩田曰く「自分より賢い」とか。たしかにフレンチ産駒だけれど、使われ方を見れば長め指向で、おまけに賢い。賢いのはいいことだ。長距離に大切だ……。
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というわけで、かなりガッツリ行って、もうレース前は平常心でない俺、ビール飲んで、返し馬のあと急に流しに行って食器洗ったりする狼狽ぶり。そして、レース、いきなり見事に出遅れてくれるアドマイヤジュピタ。目の前が真っ暗。が、この後、ちょっと気合いをつけて挽回すれば、そのあと引っかかるそぶりもない。いいぞ。それで、レース後の話では二、三番手目標といっていたのだから、これはもう馬のファインプレーに違いない。アドマイヤジュピタはこう思ったに違いない、「岩田、ペース読め」と。
レースの方はホクトスルタンの引っ張る流れ。ただ、悠々一人旅というにはアドマイヤメイン以下それほど差はない。三角四角でメイショウサムソン進出、ジュピタも追いかける。さあ、直線、抜け出すスルタンにアサクサ、そっちのラインで決まるなら俺の負けだ! と、思ったが、外の外を抜け出してくるジュピタ、「岩田!」と声が出る、しかし、武豊とメイショウサムソンがスススーっと追い抜いたように見えて、しかし追いまくる岩田に応えてジュピタが差し返す! 実際カメラの角度でわからんが、俺にはそう見えた! 総取りだ!
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というわけで、当たり馬券の回顧ならいつまでもしていたい。そういうものだ。
とか、なんとか、なんか、当てたときの方が、詳細をよく覚えているような気がする。それだけ仔細に検討し、熟慮を重ねたという結果なのだろうか。熟慮すれば馬券は当たるのか? 否、たぶん外れたときは都合良く、即座にイレイズされるのだ。よくない思い出は一瞬で殺される、記憶の捏造。でも、考えないより考えた方がいいのは確かだろう。とくに、大レースに限っては。いや、平場だってそうなのかもしれない。
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ところで、Jupiterは冥王星じゃなくて木星だ。ジュピトリスに乗ってどこかへ行きたい。
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スイートピーステークスはずっと見てきたハイカックウから。一歩足りなくて縦目食う。メイショウマリアも案外だった。好きな馬がうまく勝つというふうにはなかなかいかない。
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ついてるついでに最終に手を出し、西の方でいい目を見た。三連単囲み記事で大スポ難波田の推すセトノヒット。先行有利のコースだが、先行馬多く堅実な差しが決め手のこの馬を狙いとかなんとか。人気は無さそう。ここで三連単に行かない俺、ワイドで上位人気に適当に流してゲット。美味しい。ちなみに、記事の方は8人気アクセルファイヤーを押さえておきながら、2人気圧勝のミリオンディスクが抜けているという痛恨っぷりだった。