Morec is Watching You.

常磐大高校(水戸市)の野球部監督(30)が妻とイタリア・フィレンツェ世界遺産地区にある「サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂」に落書きをした問題で、同校は30日、監督を29日付で解任したと明らかにした。

http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp0-20080630-378084.html

 どっかの女学生の一件から始まった落書き問題、ついに高校野球の監督解任(……高校野球の監督ってのは監督専業の雇われ人なのかどうか。もしそうならば失業ということだろうか?)にまで。
 なんで人は観光地で落書きをしたがるのか? 正直言って、俺にはさっぱりわからん。少なくともそういうメンタリティは生まれてこのかた持ったことがない。親類縁者にもそういうことをする人間はいなかった。良識派ぶらせてもらうが、それが事実であって、積年の謎でもある。
 たとえば、暴走族、ヤンキーの類が「○○参上!」とやるのは、なんとなく図式としてわかる。悪(わる)の示威、自己主張みたいなものだろう。しかし、観光地の落書きはどうなのか。はっきり言って、若い奴ばかりではない。老若男女やる。しかも、善男善女風のがやる(ヤンキーのもあるが)。そしてさらに、こういうケースのように個人特定までされかねない名前や日付を書くというのは、どう考えても罪悪感なしにやっている。
 千社札あたりから来た習慣か? とも思った。池があればなぜか小銭が貯まっているように、妙に残り根付いた習慣かと。

ほとんどはイタリア語、英語、スペイン語など欧米の言葉で書かれ、日本語は全体の1割程度だったが、ハートマークの中に多くの女性の名前が書かれ、その下に「本当の愛をさがしにいくよ」との落書きも。

http://www.47news.jp/CN/200806/CN2008062901000313.html

 しかし、どうも世界共通。まさか最初に日本人の落書きがあって、それを呼び水に残り九割が書き込まれていったとも思えない。千社札ではないのかもしれない。もっと、世界人類共通の何か。人類史の黎明期、群れで一番の肉体を持った男が、誰も到達していない山に登り、その頂きに印をつけて帰ってくる……、そんなところにあるのかどうか。……いや、時間旅行行き過ぎのような気がする。よくわからない。だいたい観光地ばかりでなく、市民の森の東屋/四阿レベルにも存在する。なんで四阿(あずまや)って漢字をあてるのだろうか。こちらによると中国語っぽいようだけれど、よくわからない。
______________________
 して、この対応というか断罪っぷりはどうだろうか。正直、厳しいような気もする(前述のように野球部監督がどういう立場なのかわからんので、それによっても異なるが)。罪が無いとは言わないが、罪に対する罰が過剰反応だ。これだけ晒し者になっているのだから、社会的制裁とかいうやつは受けたろう。せめて、現地に再び行って謝罪と清掃活動、みたいな、とくに後者、そういう建設的な方向がいいように思える(そういう話も出ているようだ)。これが一匹殺して吊しておく効果として有効だとしても、やはりそれがたまたまの個人ということになると、少し理不尽でもあろう。その理不尽さ、晒し上げは正常なことだろうか。フィリップ・K・ディックが描くようなディストピアへの一歩かどうか、これもよくわからない。