社団法人日本自動車連盟vs安い自転車乗りの俺

 日本自動車連盟JAF。俺は先月までの一年間、JAFの会員だった。俺は自動車を持っていない。俺は自動二輪車を持っていない。なぜか。親が、車を買い換えたからだ。「今ならご家族を一年間無料でJAF会員にできるキャンペーン」みたいなものがあったというのだ。そこで、何を考えたか、俺の名前、住所、電話番号を登録したというのだ。俺は、ぜんぜん車のハンドル握らない、今は。
 というわけで、例の車に貼るステッカーが送られてきた(しゃれでクロスバイクのどこかに貼ろうと思ったが、そういった表面積はなかった)。そして、毎月のJAFメイト、これが送られてきた。
 JAFメイト。実家にも送られてきていたので、久しぶりという感じ。交通や道路といった話題も扱うので、たまに自転車の記事もある。そんななか、「自転車の危険性」というような話題で、次のような実験写真が載っていた。あまりの衝撃に、思わず保存したものだ。2009年2月号より。

 どうよこれ? わざわざ、こんなところにぶっつけて衝撃測らなくてもいいじゃんって。「なんかJAF、自転車にケンカ売ってんじゃねえの?」って思ったりしたというとちょっと嘘で、まあなんか笑っちゃって、しばらくケータイの待ち受け画面にしていたんだけれども。
 で、晴れて一年経って俺はJAF会員でなくなった。だいたい、車もバイクもねえのに、会員だったのがおかしい(いや、たとえばカースポーツファンが入ってたりとか、そういうことあるかもしらんが)。で、JAFはあんた、「継続してよ〜」のお便り、お便り、さらに電話、電話。面倒だったので、二本目の電話に出た。
チャララ、チャラララ、ラーラララ、ラララ♪(←『けいおん!』のCagayake!GIRLSの着メロに決まってんだろ)、ガチャ、
―「はい」
「こちら○○様の携帯でよろしかったでしょうか〜? 私、日本自動車連盟JAFの▼▼と申します」
―「ああ、JAFさん、JAFさんね! あれ、継続でしょ、継続のお話し!」
「はい、お便りをお送りしていると思うのですが、ぜひ、継続の方を……」
―「いや、あのね、私ね、車ね、なくなっちゃったんでね! もう、ちょっと、縁がないかなって」
「ああ、お車にお乗りにならなくなったと……」
―「それでですね、自転車、自転車のサービスやってないですよね!?」
「はい、自転車ですか? 自動二輪、バイクの方は対応させていただいますが、自転車は……」
―「あー、残念です。ちょっとJAFさんとは、縁がね、ないですね! すみませんね!」
「はい、まことに残念ですが、またなにかご縁がありましたら、よろしくおねがいいたします」
―「はーい、バハハーイ」
 ……というわけで、なぜか「ご縁」が重視される日本社会を実感しつつ、「でも、JAF自転車サービスしろよ、そうしたら、ちょっと考えたのに」とか思ったりしたのは事実。つーか、前にも書いていたか。

 うーん、やっぱり、上の写真からもわかるように、自転車は敵かもしらん。電話でサービスカー呼びつけて、「このクロスバイクのパンク修理して」って言うのは、メカニックのハートを折るのかもしらん。五十万、百万のちゃんとしたロードバイクならともかく、四万七千円のクロスバイクなどやってられんに違いない。つーか、もし自転車オーケーになったら、ママチャリの修理とかにも駆り出されそう。虫ゴムの交換とか、サドルのさび取りとか、チェーンの油差しとか……、いや、それはないか。
 まあいいや、ともかく、そういうわけで、さようならJAF。ただ、ちょっとJAFの宣伝をしておくとすると、なんか映画とか娯楽施設とかの割引あって、もっと早く気づいておけばよかったとか思った。おしまい。