What is not unpricelessness?


 正社員どころかアルバイトの身分もなく、本当に無給、無休で働いていたこともあるし。

 本当に社会的ひきこもりだかニートだかとして、黎明期のインターネットでエロ画像を漁ったり、親から金をせびって競馬ばかりして暮らしていたこともある。

 気づいてみたら、金の価値も、物の価値も、時間の価値も、生活の価値もわからない人間になっていた。

 俺は金の価値も、物の価値も、時間の価値も、生活の価値も、人生の価値も、俺の価値もよくわからない。労働とそれに見合う給与の関係がわからない。あらゆるものについて費やすべきコストがわからない。ただ怯えながら、リスクを取らないようにしている。自分の手持ちが分からなければ、どのオッズにいくら賭ければいいかなんて、わかりはしないのだ。

 街路灯の光を月の光と勘違いしたかもしれない。すれ違った女からいい香りがしたような気がする。とりあえずはそれでいい。