さて、帰るか。

 年度末最終週なので出社などしてみたが、今日は捗らず。ポケーッとネット見つつ、ぬるくなったインスタント・コーヒーを口に含んだ瞬間、なにか面白いものが目に入ったわけでもないのに強烈に咳き込んでカーペットに吐血後みたいな染みを作ってしまう。しかもその刹那、必死に吹くのをこらえようとしたせいか、俗に言う「蟻の門渡り」に妙な痛みがピリリと走った挙げ句、腰もギックリしてしまってわけがわからない。もしも腰痛がつづいたら、「蟻の門渡り」に妙な痛みがピリリとも説明しなくてはならないのだろうか。
 そういえば、この冬は慢性蕁麻疹が出なかった。これから風邪で医者にかかるさい、これこれこういう脳の薬を飲んでいるなどと申告しなくてはならないのは少し面倒だが、少し面倒なだけだ。「朝、体が動かない。起き上がってもよく転ぶ」などと言うと、抗うつ剤の方を食後すぐに飲め、すぐに眠くなるかもしれないけどな。などと言われたが、まあそんなものだろう。
 このところ本をよく読むようになったが、関係のある本ばかり読んでいるので、図書館に返してしまったあれが、あの箇所が読みたいんだというときの苦痛といったらない。かといって、興味のつらなりのないところをバラバラに借りる気も起こらない。まあ、そうはいってもカルヴィーノ吉本隆明のマルコ伝についてのを読むための聖書なども同時進行で読みはしている。
 が、おおよそアニメをたくさん見なくては季節も変わってしまうので問題だが、なによりも今の俺に必要なのはすばらしい『ストライクウィッチーズ』に他ならず、生まれて初めてBlu-rayボックスなど買ってしまい、「スースーするの」まで観たりしてる。
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 最初期などはなにかキャラが固まっていないようなところもあって意外に思ったが、さすがにぶれていない。傑作と言っていい。

 傑作と言えばやはり劇場版は傑作である。数字のことはよくしらんが、そのあたりも悪くないようで、なんというかよかったという気持ちになっている。

 ラジオを聴いてもそのような空気が感じられてすばらしい。服部静夏役の内田彩さんもすばらしい。しかし、このラジオを三回も聴いてつくづく残念に思うのは、川崎の舞台挨拶回の後の回を福圓さんと名塚さんが一般客席で観たというのである。とっくに満席になっていた舞台挨拶回の前後のどちらかで「前」を選んだのは失敗だったろうか。いや、あんまり関係ないか。いずれにせよ、とくに特典目的ということもなく、最低でもあと一回は行くであろう。二回行く可能性もある。やはり魂が宿っている作品であるとしか言えない。しかし、なぜ、よりによってこの異常なズボン設定のこの作品に魂が宿ってしまったのだろうか、不可思議としか言いようがない。「かわいさ」を追究する監督と、ミリタリー班のフェティッシュとこだわり、さらに女性ばかりのキャストの空気とが、謎の化学反応を起こしたとでも言うべきだろうか。どれもがすごいパワーがあってのことだろう。
 一方で、なにとは言わぬが、なにか噛み合っていれば、あるいは一点だけ良ければもっとすごくなったのに、と思わせるようなものもあって、いろいろの人間の携わる作品というのはまあいろいろあるということだろう。
 考えれば、われわれひとりひとりもいろいろの分野にそれぞれ追究やこだわりなどもあるだろうし、ときにはそれが化学反応をおこしてたいへんなことになるかもしれない。だが、おおよその人間はそういう反応と無縁で生きて死ぬのだろうし、せいぜい股間の微妙な部分と腰とが同時に痛くなるくらいのものである。おしまい。