ソ連映画『スターリングラード大攻防戦』を観る

スターリングラード大攻防戦 [DVD]

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 昨日はバトル・オブ・ブリテンでチンチンにされる映画を観て、今日はスターリングラードATOK先生がいちいち『→ボルゴグラード』って指摘してくるのうざい)でボコボコにされる映画を観るおれは、まあドイツ軍に対して好感があるかどうかといえば、あるといっていい。冷戦下生まれ冷戦下育ちのナチュラルな反ソ意識と、広島育ちの反米愛国反スターリン主義新左翼の父を持つおれとしては、なにかそんなところがある。映画を観ていて米英、ましてやソ連軍を応援する気にはなれない。これは思想的ななにかなんてもんじゃなくて、おれが物心ついたころからのカープファンだという理由に近い。どうとでも言え。
 で、このソ連の映画なんだけど、「大攻防戦」ってのはねえだろうという印象があって、包囲された友軍を奪還にくる独軍スターリングラードの外のなんとか川のあたりで防御する砲兵の話だったりするわけで、ほんとうに戦争の一局面というか、スターリングラードを巡る一局面。市街戦とかぜんぜん出てこないし、パウルスやジューコフが出てくるわけでもない。それで、だから面白くないという理由にはならないんだけど、結局のところあまり面白くない。米帝国主義の商業主義ハリウッド映画に毒されすぎているせいだろうか!
 とはいえ、まあなにか「これがソ連映画か」という視点で見れば軍事委員がすごく好意的に描かれていたり、どこかわからぬがアジア系の兵士が出てきて故郷の草原の話をしたり(死亡フラグ)、若い兵から年寄りまで動員されていたり、でも、ちょっと軍に批判的なところがあったり、あの例の『スターリングラード』、『エネミー・アット・ザ・ゲート(Enemy at the Gates)』の尻ほどじゃないけど濡れ場……ほどではないけど男女の絡みはあって、ここまではオーケーかとか、そんなん気になったりね。まあ色眼鏡と言われりゃそうなんだけど。
 そんでまあ、そんなわけで、なにか勝ったのか負けたのかもはっきりしない感じで(一兵卒から見りゃ「ドイツのドンの予備兵力を出させてやっつけたから勝ちだ」みたいなことまでわかんないのがリアリズムなのかどうか)、でも生き残ったやつは生き残ったし、死んだやつは死んだねって。それでやっぱり、「お前死にに行け」的にしか見えない上官命令(戦車の近くまで匍匐前進して手榴弾投げてこい)とかあったりして、やっぱり戦争はいけないって水野晴郎じゃなくても真面目に棒読みしたくはなるわな、と。そういうリアルさというか、雪寒そうだし、軍馬かわいそうだし、そういうのはあるよ。
 あと、兵器とかそういうのも、まあおれはあんまり詳しくないけど、He111っぽいのはすごい遠いし、円谷さんみたいに特撮頑張れと思ったり、逆になんか近づいたら「え、ジェット機? 目の錯覚?」とか思ったり。

 ドイツの戦車に関しては、こちらのページによるとT44とT33というのを改造してそれっぽくしたものらしい。もしおれに模型趣味があったら、こういうの作るだろうなとか思った。おしまい。
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……尻ばかりでなく、「銃は二人で一丁だ!」も見所……だったっけ。ところで、カート・ヴォネガットの『ホーカス・ポーカス』で黒人の囚人が「戦争映画を見ているとナチスソ連の将校の方が教養があって賢そうなのに、なんで最後はジョン・ウェインが勝つんだ?」みたいなこと言ってたな。
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……このあたりは見ておくべき作品らしいんだが、借りられんなら買うしかないのか? あ、有料ネット配信みたいなのも探してみるか。