赤レンガ倉庫の横んとこで、初めてミクさん(薄め)を観たのこと

夏の終おわりの39祭りへ

 「ちょっと初音ミクを見たいので早退します」
 「あ、そう」

 というわけで、歩いて20分くらい(――閑話途中で外国人テレビクルーのようななにかの女性レポーターのようななにかから、英語で「この建物はクイーンであるか?」と訊かれ、見てみればそこは横浜開港記念館であって、外に出ている解説文にはこれがどれか書いていない。「知らぬ」と答えたものの、なにか急いでいる様子であったので、iPhoneで調べて案内しようかとしてみたが、「いや、もういいです、サンキュー」と先に行ってしまった。あとから調べてみればそこはジャックだ。横浜検定を持っていないのが悔やまれる。というか、あの「角のKOBANというのはポリスである。ポリスに聞けばよい」と言えばよかった――休題)、初音ミクのイベント会場に来たというわけで。


 で、おれは仕事に関係しないわけでもないということもあって、横浜市のイベントなどはあるていどおさえているつもりだったが、やってんだかやってないんだかわかんないDance Dance Dance @ YOKOHAMA 2012の一環だか協賛だかという話をわりと直近で目にしたのだった。まあ、それはどうでもいいんだけど(熱中症対策に水道局が給水車出したりしてたけど)、イベント自体がロハということもあるし、なにより近いということもあるし、それよりおれは初音ミクが好きなので出向いたというわけなんだけれど。

 わけなんだけれど(この雲の中の虹みたいのなに? 彩雲? ミクさんマジ女神?)、よく考えてみたらおれは初音ミクを取り巻く文化の中心たるニコニコ動画にまったく疎く、なんというかさっぱりわからんのである。さらには音ゲーとかできないからミクさんのゲームとかもしらないのである。言うまでもなくVOCALOIDとしていっちょ歌わせるか、という話なんてあるはずもないのである。

 じゃあどうやって初音ミク好きかといえば、CD化された音源経由という、「昔は音楽を円盤に焼いていたんだよ」、「えー、なにそれ馬鹿みたい」みたいな感じであって、そういえばミクさんが踊ったりしているのも見たことないのである。耳の中でムーンライダーズのカバーとか鳴らしてるばかりなのである。
初音ミク plays 月光下騎士団(ムーンライダーズ)

 むろん、その造形に惹かれぬわけもないので、グッズなど欲しいわけでもあるが、おれはめっぽう人間の群れというか、行列に弱く、そそくさと無料会場の一番後ろの方の石に座って、一人ぼんやり読みさしにしていた文庫本など読んだりしていたのである。隣あたりで高校生か大学生かの若者がなにか携帯ゲーム機で通信のなにかをしながらニコニコ界隈の話などしていたようだが、はっきりいってなんの話だかさっぱりわからない。よく考えてみたら、今日披露される曲もまるでわからないではないか、などと思う。会場にはびしっとコスプレの人や、グッズを身につけた人などもおり、そういえばこういうイベント自体来るのが初めてじゃないかと気づいたりもする。ときおり、側頭部や後頭部に貼り付けられた初音ミクのお面が怖かったりもする。

 でもまあ、来ちゃったんだからしょうがないし、立体映像みたいなの見たいし、浜風に吹かれながら読書というのも乙なものだし(図書館通い始める前に読み出した本、読み終えられたし)、まあ悪くないと2時間過ごしたわけ。夕焼けもきれいで、写真とか撮ったりさ。

コンサート、始まる

 それで、ようやっと暗くなってコンサートの始まり……。なんだけど、最初は海上の霧の中にPVみたいなのが始まって、「しまった、位置取り悪いじゃん」と。なんか遠い上に斜めから見てて、この視力ではなにかこう、よう見えん。立体視用画面を専用グラスかけないで見ているような、二重にも見える。アカン、と思って、比較的空間があったので、少し右前の方に行ってみたりする。
 と、PVみたいのが終わって、なんだろう、なんかすごいレーザー光線のきれいなやつが立体的に、こう渦を巻いたりして、どよめきがおきて、そんで、あんた、ミクさん本体(?)登場よ。「あっは」って思ったわ。でも、少し薄いんだよ。透けてるんだよ。これはもう、角度の問題かもしらんし、そのせいで向こうに満艦飾みたいに光ってる船があるのがいかんのかもしらんし……、でも、キター! って。
 それで、ミクさんが唄って踊るわけなんだけど、やっぱりその、俺の位置からじゃ薄いし、ブレるんだけど、それでも、うはーって具合なもんで、ネギ色のサイリウム持った熱心なファンも周りで声だして盛り上がってるし、コスプレしてる人も踊ってるし、ああ、これでいいんじゃねえかみたいな、そんなんなって、あっという間のアンコールよ。いやはや。

そして終わりに


 いや、いやはや。なんかよくわからんが、おれはそんな気持ちになって、人がはけていったあとの、特設席ギリギリ前まで行ったりしたけど、まああとにはなにも残っていないし、ミクさんがよこのトラックの中に「いる」わけでもねえんだって思うと、なんか妙な気分で、でも、それはぜんぜん悪くない妙な気分で、ふわっと煙のように消えてしまって、そうなんだぜって感じで、それってすげえSFだし、いい! ってなんか思ったりしてさ。それで、やっぱりニコニコ動画界隈についていこうとか、そういう気はさらさらないんだけど(好き嫌い以前にネットで動画という発想がない)、やっぱりミクさんいいわみたいな気になって、おれも「誕生日おめでとー!」って叫んどきゃよかったかと思ったりして(思ってないけど)、あのぼんやりと浮かんだミクさんと、それをめぐる演出というやつがまったく未来とは言い切れないけど、もうちょっとでかんぜんに未来だぜって感じがしたし、たぶん正面とかだったらもっと違ったのかもしんねーけど、屋外でさ、ああいうね、なんというかね、もう、その一端を垣間見れただけで満足だってところだった。正直さ。もう時代は来るね、来てるね。
 で、おれは狭い出入口の人ごみをじわじわと抜けだして、みなと逆の方に歩いて行って、おれのアパート行きのバスに出くわしたからそれに乗って、横浜が阪神に負けているハマスタの横を通って帰った(tvkの中継が途中で終わったから結果はしらない)というわけ。耳からはもちろん、バーチャル・アイドルの歌声って具合。おしまい。

追記:あれ10mもあったのか!近くで観たかった→http://blog.livedoor.jp/goldennews/archives/51736802.html

そしてついでに


 ところで、だれもEXIFなんて気にしないだろうけれども、これα550じゃないね。どっかのレンズ沼の住人というか、親父から転がり込んできたミラーレス一眼の古いやつ、オリンパスPEN E-PL1。レンズはOLYMPUS M ZUIKO DEGITAL 12-50mm 3.5-6.3とかいうの(ズームキットレンズ?)。なんか液晶ビューファインダーが取れやすいとかなんとか。
 で、正直、触ったの初めてだから、まずレンズの使い方がよくわかんねー(動画用にデジタルズームとかついてる。マクロへの切り替えがむつかしい)。で、今日数時間使った感想としては、背面バリアングルじゃねえと使いにくいし、絞りとかシャッタースピード変えるのにダイヤルが無いのは不便だと思った。それのこのレンズだとデカイから、だったらノンミラーレスでいいやみたいな。写り? 画質? なにそれそんなのわかんない。つーか、なんかよくわかんないけど、あんまりおもしろくない。パンケーキ? もっと薄くて明るいレンズつけたらおもしろいかもしんないけど、おれは沼の人じゃないし。おしまい。

OLYMPUS ミラーレス一眼 レンズ 防塵 防滴 電動ズーム ED 12-50mm シルバー M.ZUIKO DIGITAL ED12-50mmF3.5-6.3 EZ SLV

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