一週間か二週間前のことだ。会社からの帰り路、強い風が吹いていた。ずったらずったら歩いていたら、飛んできた紙切れが足にはりついた。なにか文字が書いてあるものだったので足から引っぺがしてみると(チラシ以外の、なにか文字の書いてあるゴミを思わず拾ってしまうのは悪い癖だ)、日本共産党の極秘文書だった。本当の話である。
日本共産党が第5回中央委員会で、次の総選挙で「議席倍増」をめざすことを決めたことは、党内外に衝撃を与えています。党内には「よーし、やるぞー!」の気概が生まれています。
まあ、極秘文書ではなくて赤旗かなにかのコピーだったのだけれども。しかし、党内はともかく、党外に衝撃を与えたというニュースは聞いたことがない。まあ、あまりニュースは見ないのだけれども。
して、その裏面の手書きメモがしみた、シビれた、泣けた、ほれた、これだ。
41→28名参加
これだけではなんの意味かわからない。ただ、なにか減ったという事実があったという印象を受けざるをえない。「よーし、やるぞー!」の気概が生まれている感じがしない。すごい一体感を感じない。
して、選挙情勢とやらを見ていると、共産党議席倍増の衝撃という話も少なく、共産主義者でむせかえるようなはてなブックマークを見ても「よくて現状維持」という様子である。右派トロツキストブロックの妨害活動でもあったのだろうか?
……と、なにか日本共産党を揶揄するようなことを書いているが、わりと投票してきたのは日記でも確認できよう。不破だったか志位だったか忘れたが、テレビで日本共産党の究極の目標を国家の解体といい、われわれはロマンチストなのだと言い切っていたからだ。だから、共産党は嫌いだけど、しぶしぶ投票するのだ。
あと、元・馬券購入者としては、投票には参加しておきたいという博打の気持ちもある。とはいえ、埴谷雄高じゃないが「たまの投票行為を免罪符にする」といった批判も理解できるし、白票だろうと白鵬だろうと投票行為そのものが現在の国家体制を追認する行為に他ならぬという思いはわりとある。
(面接官「白鵬を投票箱に入れるにはどうしますか?」
求職者「まず、焼いて灰にします」
面接官「しかし、あなた、横綱はそんなに簡単に焼かれたりはしない。どうやってあなたが白鵬をやっつけられると思うのですか? ストリートでは相撲が最強です。体重差を甘く見てはいけないんだ……」
そう言うと、面接官は右足のズボンをまくり上げた。金属製の義足が見えた。
面接官「……忘れもしない、あれは23年前の歌舞伎町……以下略)
「日本人から反抗心を奪ったのは政府でも警察でもなく共産党だ」というのが新左翼の父の口癖だったが、まあなんとなくそういう感じはしているのだけれども。
というわけで、おれはまったく今現在の政治というものには興味が無くて(ただ、マック赤坂だけは別だ。あれは立派な人だ。義人だ。なにせこのおれが、あの人の政見放送を見ている間だけはすべての悪い想像が吹き飛んで、たいへんポジティブに、スマイルに満ちた境地にあることができるからだ)、ギロチン社の中濱鐵の公判記録(生い立ちなども語られていてたいへん面白い)など読んでいるのだが、まあ多分今度の選挙にも行くだろう。
ただ、誰に、どの党に投票するかはまだ未決である。おれとしては、おれの今日のごはん、明日のごはんのために、なんでもいいから公共事業増えてくれねえかな、役所の予算増えてくれねえかなという個人的事情があるからである。みじめなものである。