毎日が休日出勤だったらいいのにな

年末年始のいくらか長い休暇を思うと憂鬱になる。なにをしていいのかさっぱりわからない。図書館で借りた本、買ったけれども読んでいない本、そんなものを読めばあっという間に過ぎるのだろうか。

いや、なにをしていいのかさっぱりわからないから憂鬱になるわけじゃない。その間に仕事が無いことが恐ろしいのだ。お役人さまや立派な中小ないし大企業にお勤めの方にはわかるまいが、この貧乏零細勤め、板子一枚下は死ぬことになっている。

ろくに給料も出ない、ボーナスなんて見たことはないし、有給休暇というものがなんなのかわからない。福利厚生というのは何語だろうか。そもそも何時終わりかよくわからない。

そんな会社など吹けば飛ぶ。飛ばされたときにいくらか生きる蓄えなんか用意できるわけもない。

だから、仕事がある間、おれの精神はいくらか落ち着く。忙しければ忙しいほど落ち着く。そういう面もある。幾分に気楽な時間にたらんと出かける休日出勤など、正直言って好きな部類に入る。幾らかは金になるなにかがある。金があれば食べ物が買える。家賃が払える。悪くない。

悪くないならば、もっとたくさんの賃金をいただけるところを探せばいいじゃないか。あるいは、副業でアルバイトでもすればいいじゃないか、という話にもなるだろうか。

だが、おれはそんなのは御免なのだ。おれのような無能でやる気のない人間が、そんなこと考えるはずがないのだ。そもそもおれはニートだった人間だ。学校が嫌で、人間集団が嫌でひきこもりになっていた人間だ。食うや食わずでも、今の環境の安楽な部分から出たくないというのが本音なのだ。

そんなこんなで、ろくな社会常識もマナーも知らずに年を食ってしまった。そして家庭もない、カーテンもない暮らしをしている。植木鉢のハーブはみな枯れてしまった。

おれはなにもしたくない。なにもしたくないのに生きている。仕方ないから働くという側面はあるが、できたらさらに楽になって毎日が休日出勤みたいになればいいと思う。この環境が失われれば、あまりじたばたしたいとも思わない。精神病持ちでこれといったスキルも力仕事のできる身体もない無能の人、そもそも夢もやる気もなにもない人間、この世にいるべきではない。スッと消え行く方法が知りたい。今のうちに、知っておきたい。