- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
- 発売日: 2010/07/24
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おれはもとより映画ファンというわけでもないので、知らない作品が多い。その中にあったのが『不灯港』やった。
先日、『そこのみにて光輝く』を観たばかりであって、頭のなかが寂れた漁港の街モードなっとったおれは、これを観たいと思ったので、観たのやった。
あらすじはといえば、38歳、父の残した小さな漁船で毎日漁に出る武藤敬司をさらに優しくした感じ(毛は生えてる)の独身男が結婚したいなぁというところに……というものである。
『そこのみ』のようなどん底の悲惨さというものはないが、なんとも儚い話である。思わず、人に夢と書いて……とか月並みなことを言いとうなる。
それにしてもモテない話である。モテない男の話である。婚活パーティーで浮いてしまう男の話である。おれはもう結婚だのなんだのになんにも感じなくなっているので感情移入できたという話ではないが、コミュニケーションできないなぁという哀切は感じずにおれない。
テンポがよい。トン・トン・トンとくる。アメリカンドッグを温めるのも一瞬で、どんな未来技術かとも思うが、冷めたまま食っているという描写かもしれない。冷凍庫から出したように見えたが。あと、緑色のなにかを焼いていたがなんだったんだろうか。まあいい。
そのテンポのせいかどうか、登場人物たちがたまにしゃべりはじめると、漫才の途中でシチュエーションコントが始まったみたいな感じがした。どうでもいいセリフがわりとぐっとくる。
映像だけで軽く伏線を張ってきて、それを丁寧に回収するあたりもいい。おれはあまりそういうのを見抜くのが得意じゃないから、アメリカンドッグもしばらくしてから「ああ」と思ったくらいだったが。あの量で498円はお買い得かどうか。そういうところばかり気になる。あと、関係ないけど佐藤泰志脳になっていたので、勝手に舞台を北海道にセットしていた。房総半島のどこかだ。
散漫な感想だが、そんな感じだ。散りばめられたユーモア、全体を覆うペーソス、麿赤兒のみごとな胡散臭さ、結構おもしろかったな、おもしろかったぜ、おもしろかったよ。