清原について2、3のこと

おれが清原和博逮捕の話を知ったのは、相当に遅かった。2月3日の朝9時半ちょっとのことだった。

「そういえば逮捕されたね」

「え、誰が?」

「清原」

おれはテレビのニュースというものをほとんど見なくなって久しい。夜はネットを見ることも少ない。朝は起床からシャワーを浴びて服を着て外に出るまで、テレビをつける暇もない。会社に着て、雑談から、だった。

清原は逮捕されたのだ。

おれは手首を切れば赤いカープの血が流れる広島ファンである。そして、物心ついたころからのアンチ巨人である。その巨人に恋い焦がれ、ユニフォームに袖を通すことなった清原にはあまりよくない感情を抱くべきなのだろう。それでもなお、今日は一日、清原のことをネットで漁って過ごしてしまった。中島らもが言及したポスターは実在したのか、どうか、などなど。

だが、おれは微妙なところで清原=巨人=嫌い、という感じから逃れている。その理由のひとつは、おれがプロ野球を見はじめたころの、いやらしいほどに強い西武黄金時代の中軸であったという事実がある。巨人時代、「まともに守備ができるのは西武で野球を叩きこまれた清原だけ」などという評論を見て、「そりゃそうだろう」などと思ったことがある。というか、清原についておれは日記で何回か取り上げていた。

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贔屓球団の選手でもなく、時期によってはアンチ球団の選手だった。それにしても、おれは清原を気にしていた。やはり幼少時代に『かっとばせキヨハラくん』を読んでいたこともあるだろうし、いしいひさいちの漫画に影響されたこともあるだろうか。

桑田と清原、どうして差がついたのか…慢心、環境の違い……。現役時代は桑田のほうが黒かった。黒いというと言い過ぎなら、グレーだった。それが今はどうだろうか。大学院で学び、少年野球について画期的な提言をする桑田、刺青だらけで冷たいやつに手を出してお縄を頂戴する清原。いつからか、ボンズの影響だったかピアスをした清原。おれも左耳に三つのピアスをしている。べつに清原の影響じゃあない。しかしなんだろう、なにか清原は気になる。なんとも……。

なんとも言えないんだ、なんとも。

何度もいうがおれは物心ついたときからのカープファンだ。清原と桑田の物語に思い入れなんかないはずなんだ。それでも、やはり西武黄金時代の幻想がある。秋山、デストラーデ? 田辺? 辻? 平野? 伊東? もちろん、清原。べつになにか特別に言いたいことがあるわけじゃあないけれど、何か……こうやって書いてしまう何かがある。なんとも。

これから清原がどうなるか、知ったことじゃない。おそらく、球界への復帰というのはそうとうに難しいことだろう。江サマー(←遠い昔に伊集院光のラジオのリスナーであった名残)のようにあまり表には出ず、それなりに出る、という立場になるのか。あるいはなんだろう、このインターネットの時代だ。地上波やらなんやらというのは無理としても、インディーズとして、個人として情報発信ができる。清原が冷たい……ビールを飲みながら野球中継を実況するとか、そのあたりでもいくらか稼げるんじゃないか。甘いだろうか。まあ、それにしても、なんだろうね、覚せい剤ってのはそんなにいいもんなのかね。いいもんなんだろうな。あ、よくない結論。まあいい、このあたりで。おしまい。