寺地の戦い、八重樫の戦い、村田の戦い

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おれは地上波で放送される世界戦しか見ないにわかボクシング好きだ。今宵もビールでも飲みながら……と思ったのだが、実は風邪で会社を休んだ夜で、酒を飲む気もおこらない。だから、素面でボクシングを見た。

が、うっかりしたことに、寺地拳四朗の試合結果を先にネットの見出しで見てしまった。試合の方も、ライブ中継とライブ中継の間に放送された。4RでTKO勝ち。3Rには相手の土手っ腹にきれいに入ったストレートのえげつなさ。あのベビーフェイスで強打の持ち主。ベビーフェイス・アサシンとでもいうか。その落差よな。連続防衛の日本記録目指してがんばってほしい。

そして、八重樫東。にわかのおれが記憶するに、八重樫東が出てきた(というのは地上波の世界戦に出てきた)ときは、アマチュアエリートで、決して「激闘王」タイプではなかったはずだ。というか、今、Wikipediaを見てたらある時からそうなったようだ。イーグル京和、なつかしいな。そうだな、にわかながらに長く見てきた感もある。たしかに八重樫東は見ていて心配になるほど打ち合うボクサーだ。今日は、強い世界王者相手に序盤3Rまでは足を使っていたが、4Rになった途端打ち合いをはじめた。序盤、八重樫の回転は早いし、手数も多いが、ムザラネのパンチの方が重く、クリーンヒットしているように見えた。そして打ち合いに。チャンピオンは防御に定評があるという。こうなると、先のパンチ力も含めて、八重樫がいいパンチをもらうシーンが増えてくる。しかし、八重樫も打ち返す。どんぱちの打ち合いになる。実況はセコンドの大橋会長がタオルを持って立ち上がったと、二回伝えた。八重樫の目が腫れているようにも見える。差が開いていく……。そして、レフェリーストップによる突然の幕切れ。少し早いような、八重樫に最後まで打ち合わせてほしいような、しかし、これ以上は危険なのだというような……。

メーン・イベントは村田諒太vsスティーブン・バトラー。ミドル級となるとやはり体格が違う。挑戦者は若いハードパンチャー。試合開始、挑戦者の方が足を使い、手数も多い。村田は、なんというか、村田のスタイルだ。フィジカルの強さを活かして、単発のパンチを繰り出しながらじりじりと圧力をかける。……が、しかし、このスタイル、はっきり言って、素人目には地味に映る。おれの知らないところで深い駆け引きがあるのかもしれないが、ともかく詰めていく、そう見える。このスタイルで負けると、本当に手も足も出なかった、ということになってしまう。その見栄えはひどく悪い。ロブ・ブラントとの最初の試合がそうだった。おれは今日も、ちょっとだけ、そうはならないか不安になった。が、今日の村田は相手を圧倒していた。重いパンチを当てていく。そして、連打、右、そして左の返し一発。ぶっ倒して、TKO。強い村田のスタイル。そして、試合後に求めた「リアル」。果たして、村田が願ったところでマッチメークが成り立つのかどうかなどわからない。なによりも、村田諒太というチャンピオンが、チャンピオンの中のチャンピオンと戦ってどうなることかもわからない。わからないが、このじわじわ前進する、ぶん殴る、その戦い方でどこまでいけるのかは見てみたい。この世にはいろいろな人間がいて、いろいろなボクサーがいるから面白い。そういうもんだろう。

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