トイレットペーパー狂躁曲

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金曜、夜、帰り、東スポと安ワインを買うためにコンビニに寄った。空になっている棚があった。マスクだろうか? いや、棚だ。なんだろうかと値札を見ると、ティッシュペーパーが置いてあった場所らしかった。トイレットペーパーではなく、ティッシュペーパーも? まさかね……。

 

(追記)

【害悪】新型コロナウィルス問題でトイレットペーパー品薄のデマをばら撒いたTwitter・FaceBookアカウントが特定される - Togetter

こちらのまとめによると最初(の方)からティッシュペーパーもあわせてデマが流されていたみたい

(追記終わり)

 

「トイレットペーパー 在庫は十分」買いだめの動きに工業会 | NHKニュース

トイレットペーパーのメーカー各社で作る日本家庭紙工業会の林廣文会長は、「SNS上には『マスクとトイレットペーパーが同じ原料で作られていて品切れになる』という情報が出ているが、トイレットペーパーとマスクの原料は全く異なり誤った情報だ。また、『日本で売られているもののほとんどが中国製で輸入できず品切れになる』という情報も出ているが、日本の市場に流通しているおよそ97%は国内産でこれも誤った情報だ」と指摘しています。

なにかあるとトイレットペーパーの買い占めに走る日本人、オイルショックのころから成長していない……などと冷笑するのは簡単だ。だが、もしも偶然、トイレットペーパーのストックが危うかったらどうなのか。それはなんというか、リアルの問題だ。実存的な問題だ。実存? まあいい、ともかく、もしいま、うっかりトイレットペーパーの備蓄を切らしかけている人間にとって、「トイレットペーパーが品切れ」というのは大きな問題だ。それはデマでもなんでもない。現実に困る。

とはいえ、トイレットペーパーを求める行列に、「本当にストックがないんです」と主張して先頭に立たせてくれるわけでもないだろう。並ぶしかないのだ。そして、良識的な人から「デマに踊らされて馬鹿な人間だ」と冷たい視線を向けられることになる。でも、自宅にトイレットペーパーがないのは本当なのだ……。

幸いにして、これは、おれにとっては仮定の話だ。おれは心配性なのでトイレットペーパーの備蓄も多めにしている。が、タイミングによっては、本当に困る場合もある。デマを批判しようがなんだろうが、トイレットペーパーは買わなければならない。まったく、どうしたものだろうか。

トイレットペーパーよりも切実……なのかどうかわからないのは、やはりマスクだろう。おれはたまたま自転車通勤で、接客業でもないし、日常の仕事で不特定多数の人と接することもないのだが、電車通勤の人などは、やはりマスクがなければ白い目で見られるのだろうか。官房長官だったか、「マスク不足は解消される」とか言っていたが、あれはどうなったのだろう。もっとも、マスクの効果というと、他人への飛沫感染を防ぐのが主で、身を守るものでもないのだが。でもまあ、マナーというか、なんというか。

で、やはりこれについて切実なのは花粉症の人だろう。おれはまたしても幸いにして(こんなところで人生の運を使い切ってるのかな)花粉症ではないのだが、コロナはともかく花粉症だ、という人にとっては非常にリアルな問題だろう。もちろん、花粉症だからといって優先してマスクを買えるわけでもない。まったく、どうしたものだろうか。

風説の流布という言葉があるが、いったい、どこからどこまでが風説なのか。それを見極めるのは難しい。そして、風説が元だとしても、リアルな問題として立ち上がったとき、それは風説ではなくなる。いくらか自由な意思を持った、いくらか自由な人間の行動というもの、その集団があるということ、これの難しさ。はっきり言って、おれにはまったくどうしたものか、見当がつかない。人間の平穏な生活というものは、存外脆い。やはり日頃から必需品は備蓄しておくくらいしか考えられない。そんだけ。

 

(追記2)

「自分自身では噂の信憑性に疑問を持っていても、買い占められたら困るので、念のため自分も多めに買っておく」現象は経済学的には合理的という話 - Togetter

これを経済学では「取り付け均衡」というらしい。