おれと『無限の住人』、『無限の住人』とおれ。おれに実家があったころ、おれは「アフタヌーン」の読者であった。ほかにもいろいろたくさんの漫画雑誌を読んでいた。やがておれの実家は失われ、一家は離散した。おれはその仇討ちのために旅に出た。いや、出ない。おれは横浜に流れ着き、漫画を読むという習慣をまったくといっていいほど失った。
なので、おれは『無限の住人』がどうなったか知らなかった。知らなかったという一方で、凛がなぜか仇と一緒に旅しているあたりで、「えーと、いまこの漫画どうなってんだっけ?」とか思った記憶もある。おれの生活によって『無限の住人』が断ち切られたのか、おれの興味の中で『無限の住人』が失われたのか、今となってはわからない。
して、Amazon Primeで『無限の住人』のアニメが配信されていた。『無限の住人-IMMORTAL-』、これである。
おれは、「これを見ることで『無限の住人』にケリをつけよう」と思った。べつに漫画をどうにかして読んでもいいが、漫画読者としての自分を失っていたおれは、いつの間にかアニメ視聴者になっていたのだ。ならばいまのおれのおれたるアニメでいこう、と。
して、この(おれはこれより前にアニメ化されていたことすら知らなかった)アニメ版はどうか。雰囲気がいい。Amazonの金か、などと思う。話もサクサク進む。が、レビューなど見ると、「話をすっ飛ばしすぎていて酷い」という評も目立つ。たしかにそうかもしれない。たしかにそうだ。おれがかろうじて覚えている凛と天津との旅あたりまでは「こんなんだっけな、そうだな」とか思っていたが、まあたしかに駆け足なのは否めない。
が、雰囲気はいい。乙橘槇絵さんがいい。槇絵さんが凶悪に斬りまくる姿がいい。躍動している。おれは、それでいいじゃねえか、と思った。それでいいのか、というと、まあ、それでいいじゃねえか。
そして、物語の最後も知ることができた。答えだけ知りたければWikipediaでも読めばいいが、おれは読まないでここまできた。「おお、この物語はそうなって、こういう終わりか」と思った。悪くないと思った。
悪くないと思いつつ、Wikipediaを読んだ。登場人物一覧なども読んだ。「ああ、原作ではもっと詳細があったのだな」と思った。そういえば、もうちょっとブラックなユーモアもあったかな、と思った。それでも、津田健次郎と佐倉綾音の掛け合いは面白くもあったし、やはり悪くない。雰囲気がいい。雰囲気でいいのかといえば、いいじゃねえか。政府は布マスクじゃなく、凶戴斗マスク配ればよかったじゃねえか。
で、昨年から連載が始まった公式スピンオフなども知った。
第一話が公開されているので、読んだ。まあ、これもいつか読むことがあるかな。ないかな。新選組は固定ファンいるしな。おれもか。まあ、そんなところ。
話はアニメに戻る。このアニメ、Amazon Prime配信、てっきり全話一気に公開されていると思っていた。ところが、終盤に来て、途切れた。あ、毎週更新だったの。さらに、おそらくはCOVID-19の影響で更新が一週間伸びたりした。そんなのも、記憶のうちだ。漫画で読んでいたら? さて、どうだったろうか。ただ、もう、おれは結末を知ってしまっている。漫画で読んだほうがよかったのかもしれないが、その可能性は選び直せない。そういうものだ。
というわけで、こういう形でおれは『無限の住人』を見届けた。『波よ聞いてくれ』? これも、アニメから入ろうじゃないか。おれはアニメの住人だ。それでいい。
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