温室育ちですくすく育ったのならそのまま出荷されたほうがいい

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こんなTwitterのまとめを読んだ。

togetter.com

前職も現職も日系大手なので周りは小学校から私立で大学は早慶以上とか地方の地主や開業医の家柄でコネ入社とかばっかりだった。
私はど田舎の超複雑底辺家庭出身で、そこから這い上がってきたんだからハングリー精神で出世できる!って新卒時は思ってた節があった。
でも蓋を開けてみれば

という話である。

家族仲が良くて裕福な家庭で育った子って自己肯定感が強くて、少し失敗してもどんどん新しいチャレンジするし物怖じせず発言する。家族に倣うのか、色んなコミュニティに属するからかコミュニケーション能力高くて人脈も豊富。
はっきり言って良いところ坊ちゃん嬢ちゃんと思ってた子たちが人生経験豊かで仕事もすごいできるってことが多々あった。

そういう話である。

おれはこの話を読んで、次のようにメモした。

 

裕福な家庭の子の方が仕事もできる...這い上がって入社した日系大手、ハングリー精神で出世できると思ったが知った厳しさの話 - Togetter

遠い昔、私立の中高一貫校に入ったら、教師から「お前らは『温室育ち』と言われるだろうが、気にせず十分に温室を活かせ」みたいなこと言われた。まあおれの人生は失敗したけど。

2020/08/19 13:31

 

おれが思い浮かべたのは、このことであった。中学一年、私学中高一貫校(の底辺)に入ってみて、担任に言われたのが、このようなことであった。「温室育ちなのにわざわざ底辺を見たり、苦労することはない。そのまま育て」というようなことである。これはおれの印象に残った。一つは、自分がそんなに温室に入ったという自覚がなかった(当時の母校は関東における私学中高一貫校の最底辺であった。おれは滑り止めの滑り止めという形でなんとか入れた)ということである。二つには、やはり人間、温室育ちでいいのか? という若い疑問である。

これを言った担任は、昔グレていたらしい。中学まで暴走族をやっていて、バンドをやって、取り巻きの女の子たちと草を炊いて代わる代わる……なんて刺激的な話をした。が、高校受験前に目覚めて、神奈川県立高校の上位校に入り、そして慶應義塾大学を出た。でも、というのだ。グレている必要なんかない。悪い世界を見る必要なんてない。温室育ちは温室でいいのだ。べつにそれでいいのだ、気にするな、と。

今思えば、それは正解であったろう。いくら偏差値最底辺とはいえ、中高一貫の私学にわざわざ子供を通わせるだけの余力が親にある。公立に行ったら出会わなくてはならないヤンキー的存在に悩まされることもない。温室だ。おれにはそれがわかっているようであり、わかっていない感じもあった。ぼんやりと六年間を過ごした。いや、人間関係に失敗し(小学生のときも同じだ)、最後には友達の一人も残らなかった。大学は恩師と同じ慶應に入ったが一年で中退した。おれは人生に失敗した。そういうケースもある。

とはいえ、おれの温室はそれなりに温室だったが、完璧な温室ではなかったかな、とも思う。それはわずかな大学生時代に感じた。塾高上がりの、あまりにもものを知らないことに驚愕したことだ。「ピューリタン」がなんの宗教の一派かもしらない。そんな大学生が存在するのか? そんな感じ。一方で、大学の入学式に高級外車で乗りつけて、「あれは進学祝いに親から買ってもらったらしい」なんて話も耳にした。世界が違う、と思った。もっとすごい温室があって、彼らはおれのように転落しようにもできない、そんな世界があるのだと。おれはなにもかも虚しうなった。だから、とは言えないが、それもあって、おれは大学を中退した。本音を言えば、「二人一組」とフランス語の活用が覚えられないことが大きかった。

それからときは経ち……ひさびさに中学高校の母校のサイトを見てみれば、「あの変人の袴田が校長になってた時期があるのかよ」とか、「上記担任の三須さんが副校長だか教頭になってたのかよ」という驚きもあるが……ええと、それはどうでもいいか。おれが出た温室は、もうちょっと良い感じの温室になっているようだった。おれのころは、東大というのは考えられなかったが、東大合格者も普通にいるらしい。徳間康快のやろうとしたことは、たぶん成功したのだろう。なかなかすごいもんだよ。

で、話はタイトルに戻るが、やはり温室にいられる子は、わざわざ苦労することもない。そのまますくすく育ってそのまま出荷された方がいいだろう。もちろん、おれのような社会不適応者では無理な話だが、人脈を作り、学歴を積み、社会のてっぺんの方にふんぞり返って、それでいいじゃない。そうすべきだ。おれはそのルートを自らなげうって、社会の底の方へ落ちた。せめて大学くらい出ておけば、なにか道はあったかもしれないが、今では立派な精神障害者の低収入者だ。先は長くない。だから、あらためて言うが、「自分は温室にいるのではないか」と思った若人、それならそれで、温室ですくすく育て、それはなんも間違っちゃいない。すいすいと人生を歩め。なにも悩むな。病むこともなく、自由に生きろ。勝手に生きろ。それだけだ。

 

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……まあ、おっさんは同じ話を何度もするよね。