藤井聡太二冠、爆誕す

そこそこ仕事がありつつも、そこそこ暇な平日、どんな日? 将棋を観戦する日。

というわけで、木村一基王位対藤井聡太棋聖王位戦をちらちら見つつの職場のおれ。

kifulog.shogi.or.jp

 

初日、ここで封じ手。ハッシー(橋本崇載八段)いわく、「自分だったら投了している」とのこと。そこまで藤井棋聖の手が伸びていなくて、木村王位の駒が前線に出ているということらしい。木村王位の1筋の攻めに対して、1二歩が謝っているあたり、どうにも許しがたい状況ということのようだ。藤井、やられっぱなしということらしい。橋本八段らしく盛っているところはあるにせよ、どうにも納得しがたい局面とのことだ。

が、だ。

news.yahoo.co.jp

 

封じ手のここで「同飛車大学」をぶち込んできた藤井棋聖。ハッシーの言うとおり、ここまで無抵抗主義できた。が、いきなり攻めの一手と言っていいだろうか。同飛成。どうも藤井棋聖は飛車をぶった切るのが好きなように見えるが、まあ状況次第なのだろう。おれには到底わからない領域だ。

kifulog.shogi.or.jp

その後、飛車二枚を縦に並べて5筋の玉を攻め立てるかと思いきや、そうはならず。

kifulog.shogi.or.jp

 

いきなり終盤戦? という展開に。いや、いきなり終盤といえば、3四歩からの角突撃というタイミングももっと早くにあったのだろうが、それは選択しなかった。それにしても、だ。橋本八段は一日目の終わりに「この局面、名前を隠したら先手(木村)絶対有利」みたいなことを言っていたのに、藤井棋聖がぶっかましてきて逆転に持ち込んだ。このあたり、大局観の違いというか、大局観に対する価値観の違いというか、そういうものを感じざるをえない。はたして、当事者の木村王位はどう感じていたのだろうか。藤井棋聖を贔屓するものにとっては、もう詰みへの筋が見えているのではないかという局面。木村陣は前線に出ているものの、藤井陣は金銀が二枚ずつ自陣に構え、玉が誘い出されようとも盤石の構え。

kifulog.shogi.or.jp

 

でもって、木村王位がビシビシと後手玉に迫るも、そのあたりは読み切っていたのか藤井棋聖、かわしかわして木村玉を追い込む。5五角から2二角成、目から火が出る王手金取りかというと、それほど火が出てない模様で。73手目の5九金などは「受け師」らしいといえばらしいかもしれないが、「血涙」というほど受けてなくて。すんなり馬を取られて、そのままの流れで投了。一種の形作りを見たような気にもなる。たぶんそうだろう。

でもって、おれ、え、投了。おれはまだ会社にいて、こそこそ棋譜速報とAbemaを見ていたのだ。投了したのは午後5時ちょうど(公式には4時59分)。あー、あーあー。と思った。思いながら、15分ほど早く退社して、アパートで感想戦など見て、「永瀬の世界」(NAGASEの世界?)などという言葉を聞いて、それで、藤井二冠の言うことは聞き取りにくく。でもって、記者会見となって花束や揮毫を持って正面、右、左。そういうのも、将棋がプロとして成り立っている要素なので慣れていくしかない。まあ、ともかく、藤井聡太の時代がさらに開いたといっていい。まっこと、おっそろしい。木村王位が用意していた相掛かりの飛車の位置も、1筋の攻めも潰して……。

とはいえ、おれは「藤井聡太最強!」と持ち上げるわけでは……わけでは……ない……かもしれない? タイミングでブログには書いてないけど、渡辺明の名人位獲得の将棋も見ていた。現状、渡辺明が棋界最強の魔太郎、いや、「魔王」といってもいいだろう。でも、だ。でも、藤井聡太えげつねえよな。本局、1二歩で謝ったような手も、木村王位の研究にあったであろう1筋からの攻めを受け潰したといっていいかもしれず。現状、過大評価してもしすぎることもなく、のような。そりゃ豊島竜王には四敗だし、渡辺名人も一撃食らわせた(一撃しか食らわせられなかった!)。丸山忠久九段も腕力でねじ伏せた。……が、この将棋星人、やはりとどまるところを知らず、という感もある。いや、マジ、これ、やべえよ。

ジャンルは違えど、羽生、イチロー武豊の世代を見てきたおれ、将棋についていえば羽生の次が出てきたという感じは否めない。今のところ、ほかのジャンルは知らぬ。が、とりあえず藤井聡太の将棋は見ていたいと思うところがある。そんなところだ。

<°)))彡<°)))彡<°)))彡<°)))彡

<°)))彡<°)))彡<°)))彡<°)))彡

<°)))彡<°)))彡<°)))彡<°)))彡

goldhead.hatenablog.com

 

 

受け師の道 百折不撓の棋士・木村一基

受け師の道 百折不撓の棋士・木村一基

  • 作者:樋口薫
  • 発売日: 2020/06/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 
百折不撓 木村一基実戦集

百折不撓 木村一基実戦集