あなたは、『ウマ娘 プリティーダービー』をプレイしているだろうか？ おれも少しプレイしている。よくわからないままにダイワスカーレットの担当になり、オークスと大阪杯を勝った。よくできたゲームだと思う。競馬歴二十年以上のおれが言うのだから間違いない。
で、ゲームはそこで一時中断している。ボーナスでもらえるニンジンがなにを意味するかよくわかっていない。そのうちわかるかもしれないし、わからないままかもしれない。課金というのもするかもしれないし、しないかもしれない。
ただ、おれが毎週末課金しているゲームがある。それは競馬という名前で知られている。競馬は走るお馬さんの着順をああでもない、こうでもないと考えて、命の次に大切なお金をその予想に託し、お金を失うゲームだ。お金を失うゲームなのに、なぜかわからないが何世紀も人間を虜にしてきた。
で、本題だ。『ウマ娘』好きなそこのあなた、やってみないか？ なに、お金を失うのは一緒だ。ただ、アプリゲームと違って、お金が増えて還ってくることがたまにある。
いや、やらんでもいい、せめて競馬新聞片手に、テレビで見てみないか？
競馬の観戦方法
用意するものは、テレビ。いや、べつに動画サイトで過去の名レースを見てもいいが、まだだれも結果を知らないものを見るというのは、ちょっと興奮が違う。未知のレースの前では、競馬をはじめて一時間の人間も、五十年の人間も平等だ。
パドックで彼氏に「ねえ、ねえ？ ここで走るの？」と尋ねた若い女性がいた。「じゃあ、私、ハカタビッグワンって馬にするー」と言った。おれは、「けっ、ド素人が」と思った。ハカタビッグワンはそのレースを逃げ切って勝った。1998年、第35回東京王冠賞、ハカタビッグワンに逃げ切りを許した二着馬の名前をゴールドヘッドという。
話が逸走した。基本的に、中央競馬（JRA）のメーンレースは地上波のテレビで生中継される。関東圏でいえば、土曜日はテレビ東京。日曜日はフジテレビ。それぞれ午後三時にチャンネルを合わせよう。まずはそこからでいい。
で、「競馬新聞片手に」と言ったが、おれは「競馬新聞」（専門紙）を買っていない。金がないからだ。おれが買っているのは東京スポーツ、ようするに「東スポ」である。「え、東スポ？ ケンドー・カシンが裁判で……」と思ったあなた、ちょっとまってほしい。競馬に関して東スポは真剣だ。おれは夕刊フジも内外タイムスも日刊ゲンダイも買っていた時期があるが、競馬目的で東スポに落ち着いた。だから、東スポでいい。いや、東スポがいい。金があったとしても、おれは専門紙ではなく東スポを買うと思う。
競馬とは関係ないが、運がよければカッパやUFOのことも学べる。グレート-O-カーンの東スポ独占ご神託が読めるかもしれない。
まあいい、東スポを買え。買うのは金曜日の夜だ。コンビニでも、キヨスクでもいい。夕刊タブロイドの中では一番大きな顔をして売られているはずだ。
で、東スポの競馬欄は独立している。スッと真ん中あたりのカラーページを抜き取る。そこに、あなたが『ウマ娘』で目にしたかもしれない単語がたくさんある。あるいは、お気に入りのウマ娘の名前を、これから走る馬の父親（馬名右側）や母の父（馬名左下）に見つけるかもしれない。
「あれ、ぜんぜんいないぞ」とおもったあなたは勘がいい。そんな勘のいいあなたなら、『ウマ娘』にすごく有名な「ディープインパクト」が出ていない、という話を連想するかもしれない。あるいは、なんか有力な馬主（オーナー）の許可とかそういうごたごたがあったんじゃないかという話などを。まあ、つまりは、そういうことだ。それゆえに、おれが常々「『ウマ娘』の面子はなかなかに渋い」と言う理由もそのうちわかるかもしれない。
で、。競馬新聞の見方を説明……するのはめんどくせえな。だいたい凡例がメーンレース（カラーで載ってるその日のメーンだよ）の右側にあるので、それであたりを付けてほしい。ともかく、ズラズラ並んでいる馬名は、これから走る馬だ。その下に◎だの○だのついているのが予想家の印だ。印が多ければ、だいたい人気がある。ウマ娘も一緒だろう。
で、これはウマ娘にない要素だが、サラブレッドには人が乗る。「武豊」の名前くらいなら聞いたこともあるだろう。さがせばいるかもしれない。ともかく、それを騎手という。世の中には上手く馬を操ってたくさん勝つ騎手もいれば、まるでペースも読めず、直線で進路を誤ってどん詰まりになったりする騎手もいる。まあ、今はそんなことはどうでもいい。
そこで、ちょっと目を横にうつして、文章を読んでみよう。だいたい「本紙」と呼ばれるその新聞の代表みたいな予想家の予想が書いてある。知ってる単語もあるかもしれないし、知らない単語もあるかもしれない。でも、だいたい「おれはこれこれこういう理由でこの馬が勝つと思うよ」ということが書かれているので、そんなに戸惑うこともないはずだ。
とりあえず、これでテレビを見てみるのもいいだろう。だいたい10レースから放送される。レースの番号は右上におっきく書かれている。おおよそ11レースがメーンレース、その日一番のレースだと思っていい。
テレビには新聞に並んでる馬が出てくる。色とりどりの服を着た騎手が乗っている。ゲートに馬が入る。ゲートが開く。レースが始まる。ツインターボみたいに逃げる馬もいる（厳密にはツインターボみたいに逃げる馬はめったにいないから、ツインターボはその戦績に関わらず競馬の歴史に名前を残している）。メジロマックイーンのように先行する馬もいる。ナリタタイシンのように最後方からズドンを狙う馬もいる。
そしてゴール番前を馬たちが駆け抜けてレースが終わる。ちょっとは面白かっただろうか。あまりおもしろくない？
やはり、競馬は賭けだ。100円でも賭けるとガラッと世界が違って見える。
馬券の買い方
というわけで、馬券の買い方を教えたい。当たり馬券の買い方ではない。そんな方法を知っていたら、こんなところでブログなんて書いてないで、7万4千円のディナーでも食っとるわ。
で、スマホで『ウマ娘』のようなアプリを楽しめているあなたなら、簡単に馬券を買えるようになるだろう。あ、「馬券を買う」といっても、もうだいたいがみんなオンラインで買ってて（それゆえにコロナ禍でも売上があんまり落ちなかったんだけど）、紙の馬券を買うわけではないので。いや、紙で買ってもいいんだけど、この時期だしね。
で、詳しくはJRAのページを見てくれ。
ここの、一番左の「即PAT」に申し込め。だいたいみんなが使ってる銀行なんかに対応している。
……よし、申し込んだな。そうしたら、なんかIDとか番号とか（INET-ID、加入者番号、P-ARS番号、暗証番号）が発行されるはずだ。そして、JRAのネット投票ページにログインして……もいいのだが、せっかくなので、おれが普段やっている馬券投票方法を教えよう。というか、おれ、公式サイト使いにくいから、あんまり使い方わからん。
ここにアクセスしよう？ なに？ 公式じゃないから心配だ？ まあ、心配はいらんだろ。サイトをプロデュースしている亀谷敬正、予想は怪しくても、競馬の世界では怪しくない人物といっていい。フジテレビのCS番組にも出ているし、単著もある。長くこの世界にいる人物だ。そして、なんといっても出どころがゲーム『ダービースタリオン』、通称ダビスタの攻略なのである。そこから本業の血統予想家になってしまったのだ。『ウマ娘』から競馬に入って、いつしか競馬予想家になる人も出てくるのだろうな……。
と、それはともかく、このサイトの馬券購入機能はたいへんに優れている。出馬表との連動もいいが、ともかく今は馬券を買うことだ。
まずサイトの下にある「環境設定」をクリックなりタップなりして、IPAT連携機能を有効にする。さっき入手したINET-ID、加入者番号、P-ARS番号、暗証番号を登録するのだ。なに、やっぱり怖い？ だったらJRA公式サイトに戻れ。
ただなんだ、おれはネットの技術に疎いから説明が合ってるかどうかわからんが、このサイトで入力したものは、JRAの公式サイトの入力欄的なものにいってるだけだ。なんというのか、代行入力というか、そういう感じだと思う。
で、このサイトでいいやって人は、次に買いたいレースを選ぼう。そして、右上の「IPAT照会」を選んで「IPAT出入金メニュー」に行こう。ここは公式サイトに飛んでるんじゃないのかな。で、入金額（好きなだけ。怖いならまず1,200円くらい入れよう）。指示に従って進もう。
で、ここで入金した額が、今そのとき馬券を買える額だ。べつに10万円入金しても、100円（馬券を買える最低金額）も使わなければ、そのまま10万円銀行口座に戻ってくるだけだ。でも、操作ミスとか怖いし、博打に熱くなりすぎる人もいるだろう。とりあえず全財産入金しておこうというのはすすめない（当たり前か）。
で、上の「IPAT照会」の並びにある「IPAT投票」をクリックすると、馬券が買えるボタンが出てくる。まず出てくるのは単勝だ。単勝は馬券の基本だ。一着馬を当てる馬券だ。とりあえず、これを買ってレースを見てみよう。7倍くらいの馬の単勝を100円買ってみる。勝ったら700円になる。まずはそんなところでいい。操作は、買いたい馬にチェックを入れて、右上に出てくる「確認」ボタンを押して、金額入力。とりあえず右下の「投票」を押せばいい（今、投票時間外なので違ってたらごめん）。なんか送信してまよすよーってなったら、それで投票だ。
そして、馬を応援するんだ。応援するだけじゃない。100円でもオッズの一滴になっているのだし、もう競馬に参加しているんだ。
……な？ 違うだろ？
他の券種については、公式サイトでも見てくれ。
……と、ここでおれは力尽きた。予想の方法とか、そもそも競馬新聞の馬柱の読み方とか……。馬柱ってのは、馬の名前の下になんか枠に囲まれた数字と文字の枠が並んでるだろ。それを馬柱っていうんだ。その馬の過去の戦績が記されてる。一つの枠が一つのレースだ。右上に一番でかく書かれた数字が着順だ。「1」って書いてあったら、そのレースに勝ったということだ。当然のことながら、1とか2とか3とかばかり並んでる馬は基本的に人気になる。14とか15とか16とか並んでいたら人気がない。大穴だ。
あとはなんだ、□に囲まれた数字が2つ3つ並んでるだろう。これがコーナー通過順だ。1-1-1とあれば、それは逃げ馬だ。ツインターボだ。一方で、16-15-15とかだったら追い込み馬だ（あるいはレースについていけなかった馬だ）。通過順と着順で、なんとなくイメージするんだ。まず、それでいい。血統もタイム理論も騎手の良し悪しも後でいい。そんなところだ。
はぁ、はぁ、つかれた。
というわけで、おれは『ウマ娘 プリティーダービー』をプレイするのに戻るから、あとは勝手に調べてくれ。競馬を知りたくなったらnetkeiba.comを知っておいてもいいだろう。
ゴールドヘッド | 競走馬データ - netkeiba.com
ツインターボ | 競走馬データ - netkeiba.com
トウカイテイオー | 競走馬データ - netkeiba.com
なんかこう、文字列と数字から想像できることもあるだろう。まあ、べつに、そんなの気にしないやつもいる。パドックで馬体を見て買うやつもいる。馬の名前も知らず、独自の出目理論だけで馬券を買うやつもいる。好きな馬の産駒だけ買うやつもいる。もちろん、馬券を買わないやつもいる。なんでもいい、好きにしろ。
それでは、よき競馬ライフを。
