昨日、新聞に挟まれていたタウンニュースを見て、「おっ」と思った。菅義偉首相と小此木八郎が「意見広告」を出していたのだ。菅が小此木を応援するよ、というメッセージだ。小此木のIR反対転向を容認し、自民党分裂を回避しようということなのだろうか。
と、ページをめくると、今度は横浜市議の松本研(深夜飲食の件で自民党を離党した松本純の弟)が林文子市長を応援する「意見広告」があるじゃないか。自民分裂だ。
前者については共同通信が記事にしていた。
首相、小此木氏を全力応援 横浜市長選で支持固め | 共同通信
で、おれは誰に投票するの? 10人出る予定だ。ちょっと前までの姿勢はこうだった。「三原じゅん子が出るならば、それを阻止できる候補に全力で入れる」。が、幸いなことに三原じゅん子出馬の目はなくなったようだ。
とはいえ、三原じゅん子がいなくなったことで、じゃあ誰にするという問題が残った。ちょっと有力候補ごとに整理しておこうか。
林文子
現市長。しばらく市長。おそらく立候補予定者のなかで唯一のIR(カジノ)誘致賛成派。ちなみにおれはカジノ賛成派。横浜にカジノかっこいいじゃん派。
で、これも同じタウンニュースに「横浜型IRの実現をめざす市民の会」の「意見広告」が載っていたのだが、企業が横浜市に納める税金は500億円だが、IRの税収は1,000億円以上と言っている。IRにおけるカジノの延床面積は3%以内だとも。
まあ、この試算の妥当さはともかくとして、先細りする横浜市になにか税収は必要だろう。IR反対派は、別のやり方を提示してほしいということだ。
というわけで、おれは林市長の続投を……望むのかというとちょっと待てという。仮にIRがよいとしても、そのワン・イシューでいいのか。林市長の実績ってなんだ。役所の人から「うちの社長(市長のこと)は花が好きだから、花をたくさん植えている」という話は聞いたことがあるが、それ以外になにを。おれは独り身のおっさんだから関係ないといえばないけれど、給食問題、待機児童問題、解決してねえよな。
それに、年齢、多選問題。健康問題で引っ込んでもらっては困る。それよりも多選だ。どんな優秀な政治家だろうと、清廉潔白な政治家だろうと、長く権力の座にあると、それは腐る。その組織は腐る。おれはそう思っている。もう腐ってるんじゃないのか。そんな可能性もある。
だから、うーん。
小此木八郎
地元横浜にご奉公しようと、国会議員の、大臣の地位をなげうって(この時期に?という問題はあるが)、党是だったIRも裏切って勝負に出たのは評価したいが、さてどうか。なんかこう、菅義偉とのタッグなんか見せつけられると、「今の自民党には与したくないよな」という気がふつふつわいてくる。菅言いなり横浜市長というのは面白くない。IRのかわりはどうすんの? 経済は? というあたり、上の「意見広告」ではわからない。ハン・ジミン(って変換されたけど、ハン・ジミンって有名人いるの? ……韓国の女優さんか)の人には「偽装反IR」と言われているが、その点おれはIR反対ではないので、どうでもいいとはいえる。でも、今の自民には入れたくないよな。
だから、うーん。
山中竹春
立憲民主党の候補。早稲田の政経から、大学院で理工学研究科数学専攻に進んだ文理両立の経歴を持つ、元横浜市大医学部の教授。データサイエンスの人らしい。データと科学の政治、悪くないじゃないか、と思った。出馬表明会見でも「IRが経済的にも悪影響があるとわかっている」と言っていた。おれはIRは市が儲けるためにやるべきであって、損をするなら本末顛倒、それだったらすぐ反対派になる。そこんところを詰めてほしい。実のところ、立憲民主党もそんなに好きじゃないけど、ここは山中に一票かな? と思っていたこともある。
……のだが、こんな記事を見かけた。
候補者乱立・横浜市長選出馬表明者と大阪府知事「イソジン会見」との関係 | HUNTER(ハンター)
ちょっとこのメディアがどういうものかよくわからないし、イソジンのことはとりあえずいいとして、立候補を表明している弁護士の郷原信郎がこんなコメントをしている。
山中氏は横浜市長選の最大の争点、IR誘致についてギャンブル依存症の増加、治安の悪化が専門のデータサイエンスよって明らかだの数字なので反対していると説明している。だが、一時山中氏との話し合いで妥協できれば市長選から撤退するとしていた郷原弁護士は、舞台裏をこう明かす。
「私は山中氏に対し、納得できるようなギャンブル依存症の詳しいデータを示してくれたら、降りますと明言していました。だが、立憲民主党の関係者からは『そんなものはない』という趣旨の説明しかありませんでした。山中氏は、データサイエンスの専門家なので、そういうバックグラウンドがあると売りにしたかったのでしょうかね。説明には江田憲司衆院議員も同席していましたが、意味不明な反論をして、途中で怒って帰っていきました」
一方的な意見ではあるが、市長選に出ようとしている名の知れた弁護士がまったくの嘘をつくとは考えにくいので、ある程度はこのようなやり取りがあったのだろうと想定しよう。
でもって、この立憲民主党の対応はあまりにもおそまつじゃないのか。IR(カジノ)の経済効果よりも、おそらくはさまざまなわかりやすいデータがあるであろうギャンブル依存症についてのデータがない、という。山中氏のサイトを見てみても、データらしきものはない。
べつに、データサイエンスの専門家だからといって、感染症などを相手にしていた人だ。ギャンブル依存症や都市経済の専門家であれ、とは言わない。言わないが、科学者として、データを口にするのであれば、「これこれこういう信用できる調査、データがある」と指し示すくらいのことはあってしかるべきだろう。ちょっと期待はずれだ。
さらに期待はずれなのが、「ハマのドン」とかいう、だれがドンに選んだのかも不明な権力者の老人が支援するということだ。いや、政財界に影響力を持つ港湾利権、FMヨコハマ利権(?)の持ち主だ。だが、そういう暗然としたものが政治を左右するの、やめねえ?
「ハマのドン」、山中竹春氏への支援表明 横浜市長選:朝日新聞デジタル
で、この藤木幸夫、IR構想から自分が外されて、自分の利権にならんから反自民に寝返っただけじゃねえのかという思いが強い。そういう老人の支援を喜々として受け入れるのか。
データと科学の政治というのは魅力的な響きなんだよ。でも、響きだけだとしたらどうなんだ。
だから、うーん。
松沢成文
神奈川県知事も努めたことのある政治家。こちらも参議院議員の立場をなげうって参戦。神奈川県知事というのは、政令指定都市を三つ(横浜・川崎・相模原……松沢知事のころ相模原はどうだったっけ、まあいいや)も抱え、あまり存在感がない。県知事としては、厳しめな禁煙条例を全国に先駆けて作ったことと……、あまり覚えていない。すごく嫌い、という感じもしないが、べつに好きだ、支持したい、という気もしない。が、この人、あれだ、日本維新の会じゃん。やっぱりそこはどうも支持し難いところはある。
ただ、IRの代わりについて述べていたのは悪くない。ただ、それが、「英語の第二公用語化」、「英語についてのテーマパーク」などなので、なんだそれはという感じが強く。
だから、うーん。
田中康夫
なぜ田中康夫? というのが第一印象。で、長野県知事としてはどうだったかな、などとWikipediaでも見てみると、「ハイエクとケインズの融合」とか言ってるらしい。よくわからんがすごい。あ、そうだ、脱ダム宣言だ。そのほか、結果、どうだったのだろう。長野県民に聞いてみよう。
というか、おおさか維新の会から国政選挙に出てたのか。知らんかった。これは個人的にマイナス。ただ、「IRだけが争点ではない」といって出てきたところは悪くない。とはいえ、田中康夫横浜市長、なぁ。
だから、うーん。
……と、時間切れなのでこのあたりで。ほかに「郷原信郎はカープファン」ということもわかったが、ベイスターズを赤く塗るわけでもあるまい。いや、赤く塗ってカープにはならん。
いや、ほんと、まったくどうしたもんかわかりません。林市長が後継候補を立てたりすれば、そのあたりに傾く可能性もあったが、市長、そういう意味で政治家ではないからな、よくも悪くも、だろうけど。
だから、うーん。