『イニシエーション・ラブ』について

 

おれは『イニシエーション・ラブ』という作品をまったく知らなかった。作品が発表されたときも、テレビで取り上げられて大ブレイクしたのも知らなかった。おれは最新の小説についてアンテナを張り巡らせているほうではないから無理もないが、けっこうな評判作をまったくしらないのもちょっと変だな、と思った。

読んでみて思ったが、これはちょっと人に紹介しづらい。説明しづらい。ネタバレ上等で語り明かしたいという思いもあるが、できればなにも知らないで、本のカバーの紹介文も読まないで、とりあえず読んでほしいと思う。そう思わせる小説である。

久々に、実に久々にこういうジャンルの小説を読んだが、まったく、すごいな。たいしたもんだ。読み終えてからが本番だ。それにしても、おれは出てきてわからない単語や気になることがあると、ついつい携帯端末でWikipediaを開いて調べてしまうくせがあるのだが、わりとそれでいい線いってたな、などと思う。

とはいえ、「この手の小説ならもっとすごいのがある」、という人もいることだろう。だが、その人は、「もっとすごいの」をうまいこと紹介できるだろうか。ちょっと難しくないだろうか。説明したくないのではないだろうか。

というわけで、うっかりしているとまったく知らないままの、この手の小説というものもあって、宣伝も難しいのだろうな、などと思うが、まあ知らないなら、知らないままに読んでみてほしい。そんなに長くない。おれはおすすめする。紹介してくれた人にもたいへん感謝している。

 

で、映画版があるのだな。

映像化、どうやって?

 

で、アマプラにあったので観てみた。

うーん、小説の1/10から1/20というところか。ちょっと前田敦子木村文乃のイメージが違ったかな。いや、これはおれが小説で抱いていたイメージとの差の問題で、べつに演技が悪いとかそういうのではないです。

でも、やはりこの映画全体はちょっと物足りない。単品として観たら、ちょっとどうかなという感じ。ただ、ラストだけは悪くない持って行き方だった。でも、やはりちょっと無理しているし、小説ならではの部分が大きく失われているのが辛い。

なので、「アマプラで観られるなら、映画から観てみるか」というのはおすすすめしたい。小説を読んで、二回読んで、その上で、「どうやって映像化してんの?」と思って観てみるのがいい。そんな感じ。

 

ああ、書きたくなかったエントリーだ。けれど、今さらながらちょっと、ちょっと、これ、と思ってしまって、書き残さずにはいられなかったのだ。そして、久々にこの手のジャンルに手を出してようかとか思っている。

以上。