今年読んでよかった本を挙げる。もちろん、おれは今年出た本を読むことは少ない。ほとんどない。だから、おれが今年読んでよかった本だ。
『幻覚剤は役に立つのか』
大麻がどうこうというところに、幻覚剤である。幻覚剤はすげえ。すげえから幻覚剤をやりてえ。そう思わせてくれた一冊。人間、ナチュラルに生きていて辛ければ、いくらでもカスタマイズして構わないぜ、というのがおれの意見だが。
『俗語発掘記 消えたことば辞典』
ついこないだ、辞典から消えた言葉、追加された言葉なんかが話題になった。辞典から言葉が消えるのはけしからんという意見もあれば、ひたすらに言葉をためていく類の辞典でなければ刷新はされるべきだという意見もあった。
この本は、消えた言葉を発掘した一冊だった。明治のころの日本人も、令和の今の日本人とたいしてかわらねえ言葉遊びしてんだな、と思う。言葉は変われど、人間はたいして変わらねえな、というところだ。そこがおもしろい。
『生まれてこないほうが良かったのか?』
これはかなり著者の意見に異を唱えたくなる本であった。とはいえ、反出生主義というものの、日本人が書いた本として、とりあえず一冊出してくれたことにはありがたく思おう。そして、「誕生否定」と「出産否定」の二つに分けてくれたことは、一つの前進ではないのか。おれが興味あるのは本書で主に取り扱っていない方の「出産否定」である。
『にょっ記』
おれは今年、穂村弘の本に出会って、たくさん読んだ。その一冊目だ。穂村弘の本ではもっとおもしろかったのものもあるだろうが、とりあえず一冊目だ。これからも穂村弘の本は読むことになるだろうと思う。
『黙殺 報じられない無頼系独立候補たちの戦い』
おれが現在のこの国の政治について考えるとき、与党支持者だろうと、野党支持者だろうと、「無頼系独立候補」を馬鹿にしたり無視したりする人間とは仲良くなれないということは、はっきり言える。与党支持者だろうと、野党支持者だろうと。おれは、むしろ、投票すらしないやつとすら通じている。だからこそ、党派というものに縛られている人間とは仲良くできない。敵ですらある。そいつが与党支持者だろうと、野党支持者だろうと。
勧められて読んだ本。だいたいおれは人から勧められた本というものは黙殺してしまうのだが、これはおもしろかった。「おーっ」となった。そして、読み返した。読み返さずにはいられない。久々に、そんな本を読んだ。そして、これが映像化されていると知って、「どうやって?」と思ったが、なるほどそれなりになっていた。それでも、やはり、これは小説から読むべきだろう。まったく知らない人は、とりあえず、カバーの紹介文もなにも読まずに読んでほしい。そう思う一冊。
『何ものにも縛られないための政治学』
おれはおれ自身がアナキストであれかしと思っているのだが、その思いをまとめてくれたような一冊。栗原康の著書はほぼ読んできたが、これはアナキズムがバシンッと一発におさまっている。とりあえずこれから入っていいと思う。というか、入ってくれ、これを読んでくれ。そう思う。やるなら今しかねえ。チョレイ! おまえが舵を取れ!
……というわけで、こんなところ。日記に書いてここに取り上げなかった本もあるし(穂村弘ばかり読んでいたような気がする)、日記に書かなかった本もあるし、読みきれなかった本もある。とはいえ、今年はあまり本を読まなかった。関係ないけれど、今年は映画も見なかったし、アニメも見なかったし、なにかしら好奇心のようなものが減衰した一年だったと思う。コロナのせい、とか言いたいと思うが、もう、年齢のせいでいろいろ弱まっている可能性も否めない。まあ、そんなところ。
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……小説について、オールタイム・ベスト的な?