ロシアの侵攻から2週間が過ぎて

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陸上自衛隊です
  • 本当なら3.11についての話をするべきなのかもしれないが、11年経った今、おれにどれだけ語るべきことがあるだろう。11年前の記事を読んだほうがいい。
  • 原発事故からも11年になる。ウクライナでも原発が問題になった。まずはチェルノブイリだったが、これはキエフへの通り道ということだった。
  • びっくりしたのはザポリージャ原発という巨大原発での戦闘だった。電源がどうにかなってもやばいことになるのは、やはり11年前の話でもありありと覚えている。
  • さらにチェルノブイリザポリージャからの通信が途絶えたとIAEA。ロシア軍、当初の目標に原発はあったのだろうか。さらにいえば、原発を制圧した後の計画のようなものはあったのだろうか。原発を人質に……という考え方もあるだろうが、おれはどうも無計画な侵攻の結果に見える。原発を管理、制御しているのはウクライナの作業員で、十分な休みもとらされていないとされる。原発でなにかあったらロシアの国土も無事ではないだろうに。
  • 「ロシア軍が予想以上に弱かった」という声もある。それはどうだろうか。たぶん、ロシア軍は本気を出せていないだけ、という感じもする。最初からウクライナを廃墟にしろという確固たる命令が出ていたら、あっという間に廃墟にしていたのではないだろうか。確固たる目的、命令がないから、迷走しているのではないか。
  • 確固たる目的があるウクライナ軍は、その分強い。
  • ポーランドアメリカ経由でMiG-29をウクライナに提供しようという話があり、それが頓挫したという話もあった。さすがにアメリカの軍人がウクライナの基地まで戦闘機を運んだら、ロシアも参戦と見なすだろう。ところで、アメリカのパイロットはMiG-29を運ぶくらいの操縦はできるものなのだろうか。
  • ロシアの情報機関の内部告発文書という怪文書が流れた。その信憑性についてはまったくわからないが、最後に「コロナも暗殺も異様に恐れているプーチンが、自滅する道を歩むとは考えにくい」というようなことが書いてあり、それはそうかもな、と思う。我が身可愛さはあの机が物語っている。もっとも、今後の情勢によってはどうなるかわからないが。
  • 「人道回廊」なる言葉が使われている。少し調べてみたら、今回の戦争より前に日本語の「人道回廊」が使われていた例はほとんどなかった。概念としてはもっと前からあるものらしい。
  • ロシアが提示した人道回廊が、ロシアやベラルーシ行きなのは呆れるというか、なんというか、どういうものかと思った。
  • ウクライナアメリカの支援を受けて生物化学兵器コロナウイルスの研究をしていたとロシア軍が発表していた。いくらプロパガンダ合戦、情報戦の時代とはいえ、こんな0.1%くらいの信憑度しかなさそうなことをよく口に出せる。おそらく、勝手にロシア軍人が言い出せるようなことではないので、プーチンが適当に口走ったことを、忠実な部下たちが必死に文書化して発信しているのではないかと想像する。
  • 第三次世界大戦を起こさないかわりに、ウクライナが犠牲になる。このような構図はなかなか崩れないように思える。いくら各国がロシアを、プーチンを痛罵しようが、経済制裁を課そうが、目の前の砲弾は防げない。だんだんと西側の言葉の力も効果がなくなっていくのではないか。
  • ウクライナを救うためにアメリカなりNATOの枠組みなりでロシア軍と直接交戦しろ、とも言い難いところはある。ロシアは核保有国であって、マッドマンセオリーなのかマッドマンなのか健康で単にやべえやつなのかわからないが、これを引き起こしたプーチンがなにをするかはわからない。自分は安全なシェルターの中にいて、世界に大惨事を引きおこす可能性は否めない。
  • テレビに出てくる専門家で「信用できそうだ」と思うのは防衛省の兵頭という人と東大の小泉悠ということになる。兵頭さんが小泉さんと一緒に出ているとき「われわれロシア屋」というようなことを言っていた。で、おれは小泉さんの名前を見たとき字面から「あれ、ユーリィ・イズムィコさんか」と思ったのだが、近頃ネットでたまに目にしていた「丸の内OL」を名乗っていたとは知らなかった。現在は「人」になっている。
  • 戦争が長引けばロシアも苦しいだろうが、もっと苦しいのはウクライナだ。ロシア軍は緩慢に無差別攻撃を行うようになってきている。インフラは破壊され、食料もなくなってくるだろう。
  • 亡命政権という話も一時出た。亡命政権NATOに加盟して……などと妄想してみたが、そう簡単にはいかないだろう。
  • ウクライナは救わなくてはならないし、このような前例を作ってはいけない。とはいえ、救うために第三次世界大戦が起きてしまっていけない。ウクライナが独力でロシアを諦めさせるのが最良のシナリオなのだろうが、可能性はあまり高くないように思える。
  • ロシアでは若者と国営放送しか見ない層で断絶が起きているともいう。情報統制の強力さを感じる一方で、ネットの力というものも感じる。
  • ロシア国民が立ち上がってプーチンを打倒する、というのも望ましいことだが、弾圧の様子をみていると難しそうだ。昨日今日できた独裁ではない。
  • クレジットカード会社やAppleMacやスタバがつぎつぎにロシアで閉店している。ユニクロは続けるでーと言ったが、すぐに方向転換した。ユニクロについては、駐日ウクライナ大使の批判が的を射ていたと思う。ユニクロについて「中国からの影響があったのでは」という話も出ているが、そんなことはわからない。
  • とはいえ、二次大戦後の国際秩序も平和を希求する人間の心も昨日今日できたものではない。どうにか、なにかないのか、と思う。思うも、具体的に思いつかない。
  • ウクライナの戦争ばかり注目されているが、ほかの紛争はどうなのだ。ウクライナの難民ばかり注目されているが、世界にはもっともっと多くの難民がいる。それはどうなのか。もっともな意見ではある。
  • 世界は悲しい。