2022年の広島カープを振り返る

  • 最終試合を終え、佐々岡監督の辞任も発表になったし、今年のカープを振り返ろうと思う。
  • 自分はJ SPORTSオンデマンドにのみ契約しており、カープベイスターズ、ドラゴンズのホームゲームだけだいたい見た。
  • スタートダッシュに成功したのは意外だった。ただ、交流戦どん底に沈むのもいつものことだった。交流戦での失速というのは試合数以上のダメージがある。とはいえ、交流戦がないリーグ内成績だけだとカープは三位だったらしい。数字でもダメージ大きいじゃん。
  • しかしまあ、走らないチームだった。「機動力のカープ」は過去の幻想かもしれないが、それにしてもひどい。最初から東出コーチが「盗塁できるチームじゃない」なんて言っていたが、果たしてそうか? 野間や小園の脚が遅いか? 三冠王の村上宗隆に何回も走られたのを見たが、村上のほうが俊足だというのか? その意識付けがチームの意識となり、個々の選手に走る気をなくし、実際に作戦でも盗塁させなかった。盗塁に限らず、一つでも前の塁をという意識もあまり感じられなかった。
  • ヒットの打てないチームではなかった。ただし、単打三本で一点というような効率の悪さだった。一発で決める大砲がいないという面もあるが、脚を絡めればもっと効率的に得点できただろうし、得点が多ければ多いほど投手も楽になる。当然の話だ。
  • 今年のカープのチーム盗塁数は26。こちらの記事によると、2016年からは118、112、95、2019年からは81、64、68。今年はあまりにもひどかった。そして、なにをしたかというと、バント、バント、バント。相手の先発が初回明らかに制球に苦しんでいても、バントでワンナウト与えてしまう。今どきの高校野球だってもっと頭をつかうんじゃないのか。そして、シーズンの終わりのほうになってからか、なにか思い出したようにヒットエンドランを仕掛けることもあったが、その成功率も高いようには思えず……。だいたい、「ほとんど走ってこない」って相手のピッチャーにも楽させちゃうだろ。
  • おまけに、よく走られた。そのイメージが強い。カープの盗塁阻止率もかなり悪いほうなんじゃないだろうか。走れず、走られる、そういう感じ。そのうえ、なんだかわからんが、盗塁を刺しに行った球が逸れたり、牽制球が逸れたり、なんかバッテリーエラーも多くなかったか?
  • 大まかな作戦面や、チームづくりの大きな方針としては佐々岡監督の責任ということになるだろうが、どうにも盗塁(走塁)、バッテリー周りのことなどは、コーチの責任が大きくないか。むろん、プレイするのは選手だし、選手には能力の上限というものもある。あるにしたって、それにしたって、もうちょっとどうにかならなかったのか。見ていて思ったのはそのことばかりである。
  • 佐々岡采配というのは批判されがちだったし、まあ戦力十分のチームを率いるならともかく、そうでもないチームを率いるにはどーんと構えすぎていたように思う。あとは、妙な選手への信頼。選手を信頼するのは悪いことじゃないが、「え、そこで?」みたいな。最後から三試合目、CS進出がかかり、なおかつ次の試合まで間隔があって、総力戦をする場面で、今の中崎を最初にチョイスするの? みたいなのが象徴的な場面だった。
  • むろん、先に述べたように戦力十分のチームではなかった。それは認めざるをえない。順調にキャリアを積んでいる坂倉にしたって、本来は捕手をやらせたいし、本人もやりたいところだが、なにせサードがいないからサードをやらざるをえない。この「いない」というのは本当に「いない」感じで、ともかく去年の結果から林がどうにかしてくれると思っていたら、林が二軍で停滞というまさかのパターン。いや、そんな「まさか」は想定した上で、もう一枚くらいいなくてはいかんよな。
  • 抑えは栗林で万全。だが、セットアッパーも矢崎が定着するまで苦しかったし、その矢崎だってまだまだわからない。森浦もがんばったがどうもピリッとしないシーンが目立った。ターリーも来年契約してもいいくらいの成績だったとは思うが、完全じゃなかった。フランスアとかどこいってたんだ。アドゥワは? そんなん言い出すときりがないが。
  • マクブルームはがんばったと思う。キャンプに参加できず、いきなりの参加。いきなりの四番。エルドレッドのような大砲ではなかったが、チャンスでもけっこう打ってくれたし、ナイスガイだ。ホームランも打点もチーム一位だ。来年もぜひともチームにいてほしい。そのうえで、もう一枚大砲がほしい。べつに外国人じゃなくて、末包でもいいのだが、どうも覚醒確実とはいえなさそうだし、エルドレッドに期待したい。
  • 来期の戦力というと、FAの話もある。西川と野間か。これはどうにもよくわからない。どちらもカープの主力として応援しているが、なにかこう、なんだろうか、「シーズンを通して大活躍!」という印象があまりない。もし出ていくにしても、とくに西川なんかは一年を通して天才っぷりを発揮して首位打者の一つくらいとってからにしてほしいとか思ったりする。
  • さらに鬼に笑われると、監督がだれになるのか。いや、年内に決まるか。ともかく、これもちょっとわからない。候補はたくさんいる。中継の解説で金村義明が「何人か手形を持っている」と言っていたし、多くのファンもだれかが手形を持っていると思っているだろう。ただなあ、なんかこう、たとえば将来は新井貴浩監督になるにしても、とりあえず新井コーチということにして、修行も必要だろう。そこんところのつなぎとして、いや、貴重な一年や二年をつなぎといってはなんだけれども、まあともかくたまには外の血を入れてくれよとか思うが、無理かな。野村謙二郎再登板あたりが妥当な線なんだろうか。サプライズを期待したいが。
  • しかしまあ、佐々岡監督もついていないところもあった。ほかのチームもそうだが、コロナに苦しんだりもした。ここでマクブルームが、とか、秋山がコンディション不良だ、とか、やっぱり西川が、とか。
  • まあしかし、それよりもコーチだ。コーチ陣だ。河田さんも責任を取って退任するが、ほかのコーチはなんなんだ。言っちゃ悪いが、コーチ暗黒時代という感じがする(いや、現コーチ陣のカープ現役時代が暗黒だったというのに引っ張られているかもしれないが)。実際におれが指導する場面を見ることもないし、見たところでわからんが、ともかく結果が出ていない。それに、本当にあまり言いたくないことだけれど、秋山翔吾が技術的な不調になったとき、迎祐一郎朝山東洋にアドバイスができるのだろうか、みたいな。もちろん、名選手名コーチにあらずだし、その逆でもある。それにしたって、まあ、イメージにすぎないと言われたらそうなんだけれども……。少なくとも、コーチをコーチするようなコーチの見本というかベテランはいないよな。監督も大事だが、なんかそのあたりを……。
  • というわけで、今年のカープはなんだかわからんが、選手の活躍やなにかより、「コーチどうにかならんのか、コーチ」と思うことが多かった。そんな記憶に残るシーズンだった。いや、こんなシーズン記憶に残らない。残らない方がいい。ともかく、監督もかわることだし、そのあたりのチーム作りを……って、この球団のオーナーに言っても無駄なことか。三連覇時代みたいになんかいろんなナイスな偶然が重なるのを待つしかないのか。まあいい、四十年はカープファンをやっているのだ。暗黒時代にも慣れてはいる……。ただ、せめて、もうちょっと走ってくれんかね?