寄稿いたしました。
……読んでいただけましたでしょうか。あまり気持ちのいい話ではございません。
しかしまあ、この話の主役であるところの父親に、近ごろ自分が似てきたということに気づくわけだ。これが人の子の親にでもなれば、親になってはじめてわかる親の気持ちとかいうところだが、目下のところそういう話はない。ただたんに中年になって、中年だった父を思い出すというだけだ。
どのあたりか。病院でトラブルを起こして出入り禁止になるところか? 残念ながらおれにそれはない。注射と事前に治療費と薬代がわからないのは嫌だが、基本的におれはお医者様というのを信頼している。なぜだかわからんが、いきなり信頼しているところから入る。さすがに風邪をひいたときに抗生剤を処方してきたおじいちゃん医師のところには行かなくなったが、まあとにかくラポールを作ることに注力している。
そういうところではない。いや、ちょっとあるかな。まずあれだな、不機嫌になったときに、他人に嫌な思いをさせるような言動をよくするようになったということだ。いや、おれもおれで他人に嫌な思いをさせるのは得意な方だが、あまりそれを使ってこなかった。だが、どうもこのところ、精神状態がよくないとき、具体的にいえば双極性障害で鬱から躁に切りかわるときがやばい。なんかソワソワ、イライラしてきて、なにごとも気に食わないという感じになる。そういうときに、つい大声が出てしまったり、嫌な感じの物言いをしてしまう。そのあたりのテクニック的な部分は、父親譲りというか、父を見て育った、学んだといっていいだろう。
もう一つは、寝込むこと、これである。双極性障害でいうところの鬱だ。抑うつ状態だ。これになると、とにかく朝から身体が動かない。これは事細かに書いたことがあるので、こちらを読んでほしい。
この状態は、大事な要件があっても布団から出てこない父親の姿そのものだ。これが辛い。おれは社長というような存在でもないので、そこまで責任のある立場でもない。Adobeを使ってなんかするのが基本的な仕事だから、大事な商談という話もない。でも、やはり零細企業で単純に頭数がいないなかで、それでもまったく動けないというのは辛い。「今日はみな出払ってしまって、自分以外に一人しか出社できない」というような状況でも、抑うつがきたらそれまでだ。
なにか原因があってくるのならば、なにか対策のしようもあるだろうが、それがまったくわからないから障害なのだ。おれはそのように思っている。思っているが、おれが会社に行けないことは、それで免責になるわけでもない。這ってでも行かねばならんが、比喩でなく「這う」ことになり、さすがにそれでは会社までたどり着けないし、多少の日中変動を待ったほうが早く着くだろう。
いずれにせよ、仕事があるのに寝込んでいるというのはまったくろくでもないことであって、これも父親に似てきたと思うとさらに嫌になる。嫌になるが、これはもうどうしようもない。
抑うつついでにいうと、なんとか起き上がって、スローモーションで動く、ちょこちょことしか歩けない自分は、長くパーキンソン病を患った祖父のことを思い出す。血は繰り返し現れるのか。よくわからない。
とにかく似たくないと思って頑張っているのは糖尿病だ。2型の糖尿病も遺伝の影響が非常に強い。おれは両親ともに糖尿病を患っている。父には暴飲暴食があったが、母はそうでもないのに患っている。弟もなった。おれだけは、なるまい。そう思って、野菜ばかり食べている。……酒は飲むが。まあそれでも、酒を飲んでものを壊したり、だれかを怒鳴りつけたりしないだけマシというものか。
本当にもう、酒でも飲んでないとやってられない。酒は救いだ。脳みそまでぶっ壊してくれる。こんな理想的なドラッグがあることに、乾杯だ。幸せスパイラルだ。なにせもう、おれは親から遺産を残されることもないし、自分自身も低所得、低資産だ。せめて将来は障害者雇用で農園暮らしがしたい……。