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おれはもう鍋を食うのが嫌になった。鍋の季節は終わりだ。じゃあ、なんだ? 蒸し野菜か? 蒸し野菜を食うか? 食った。蒸した野菜を酢醤油につけて食った。食えねえ。無理やり食べきった。おれに、これを食うのは無理だ。
じゃあ、なにを食べたらいいんだ? 冷しゃぶサラダにはまだ早い。じゃあ、お好み焼きか? この卵が高い時期に。それに、もうおれはお好み焼きが面倒くさくなっている。野菜を切って、肉と一緒に鍋キューブと水入れた鍋に放り込むだけの鍋に慣れすぎた。もう無理だ。
……焼きそばはどうだろう? お好み焼きからの連想だ。基本的に、野菜切って、肉と麺をフライパンに入れるだけだろう。それに、ソース味ならなんでも食える。悪くない。これからの時代は焼きそばだ。おれはそう思った。
スーパーの売場でびっくりした。なぜマルちゃんとシマダヤで値段が二倍も違うのか? まあいい。
そしておれは焼きそばを食べ始めた。新玉ねぎが美味しい。新玉ねぎはどんなに大きくても一個使う。半分残すのが面倒くさいからだ。もちろん、野菜の量は多い。味は薄くなる。お好みソースを少し加える。ちょうどいいくらいになる。
フライパンのコーティングの一部が剥げていた。そこに麺がちょっとだけひっかかって取れない。頭にきたので安いフライパンを買った。この手のフライパンはもって二年か? 鉄のフライパンというのも頭をよぎったが、手入れが面倒すぎるのを知らないでもないのでやめた。
いずれにせよ、おれは焼きそばを食べる人間になった。が、問題が一つある。おれは土日の昼にカップ焼きそばを食べている。
平日の昼以外は、すべて焼きそば。ヤキソバン。これでいいのかおれの人生。悪くはない。
……と、思っていたのだが、晩飯のあと悪い。なにが悪い。胃の調子が悪い。全体的に気分が悪くなる。焼きそばに転向してからだ。胃薬を飲む。飲んでも、どうも悪い。
なにが悪いのか。炭水化物が悪いのか。ずっと長いこと、夜は基本的に炭水化物を食べてこなかった。それにより、胃が拒否しているのか。
あるいは、油か。鍋ばかり食べていて、食用油をまったく切らしていたくらいだった。急に油を摂取して、胃が拒否しているのか。
玉ねぎ食い過ぎで胃がやられているという可能性もないではない。ちゃんと火を通しているつもりだが。
もしも炭水化物であれば、焼きそばをやめて野菜炒めを食べるということになる。この場合の「食べる」は、「晩飯は野菜炒めだけ」を意味する。酒は飲むが。
もしも油の場合どうしよう。野菜炒めがだめだ。お好み焼きもだめだ。そうなると、蒸し野菜ということになって、おれはいま蒸し野菜が食べられない。となると、冷しゃぶサラダの早期投入ということになる。少し早いような気がする。しかし、鍋も五月初頭まで引っ張ったのだ。一年の半分を冷しゃぶサラダ、一年の半分を鍋にするという改革も考えられる。
ちなみに、おれは上記に挙げた料理以外を作る気は一切ない。そんな時間がない。ただし、野菜は食べたい。まあ、胃がなれるということもあるだろう。しばらく焼きそばを食べる。ほかになんの選択肢があるのか、おれにはまったく見えない。
ピザ。