青い葉のころ

帰り道、サイレンが鳴っている。コンビニ、入り口の上に設置された赤色灯が回転している。コンビニに強盗。だが、普通にお客さんが出てくる。また、普通にお客さんが出てくる。店内を覗く。外国人らしい店員さんが、普通に、レジで接客している。コンビニと同じビルの薬局の主人が出てきて様子を見ている。なにも起こらない。ここには散弾銃を撃つやつなんていない。ショカツサイとオオアラセイトウとムラサキハナナって呼び方が分かれているけど、どれが好きかな。おれはムラサキハナナかな。アメリカザイフリボクの実が赤くなっていたよ。ジューンベリーって呼んだほうがいいのかな。最後の晩餐みたいに日が暮れていって、ぼくの臓器は少し平気だ。偽造文書は家の中にあって、多くの犬たちに向かって吠えている人間がいる。最高の瞬間を写真に撮ろうとしては、シャッターがきれない夢ばかり見る。コンビニの店長は「フェイスが違うだろう!」とバイトを叱りつける。バトル・フェイスが求められている。名古屋で、横浜で、日本のいたるところで。せめて戦う顔をしろ。ビシエドの打球は美しい放物線を描き、林はエラーを悔いる。キャットクイル。猫も悔いる。ネコ目もいる。イルでドープなおれたちの宴。裁判所はあの日の思い出をシュレッダーにかけて、掲示板におれの恥がさらされる。アイドルたちはもう奴隷なんかじゃない。ハンサム・マスト・ダイ。彼女には大きすぎたギター。地球の裏は夜中の三時。コーラの炭酸が抜ける音が聴こえてきた。今、聴こえるもののなかで、もっとも小さな音を聴け。人生の豊穣が約束された。ルラシドンをいくら飲んでも死にはしない。おれに必要なのはナイスなビニール。くいだおれ人形に杭を打ち込め。お好み焼きは広島の特産品。許された蛮行は不名誉なレコードを灰にする。煙を吸い込み、そして吐け。酒を飲み込み、そして吐け。あらゆるところに潜んだ無名のパルチザンが包丁を研いでいる。来る日のために。そのようにして、ハイブリッドなおれたちの不毛な歴史は終わりを迎える。七千頭の馬が朝もやの中を走り抜ける。振り返ったら黄金を見つけた。まだ五月の風が吹いている今だからこそ言おう。君に会えないのはさみしい。それでも、バックヤードで店長がバイトを殴っている。戦う顔をしろ。中島みゆきがそう歌っている。音楽のために生きている。踊らない夜はいらない。というわけで、日本ダービーの本命はスキルヴィング。ローテーションの常識がさまざまな形で崩されている昨今、次に破られるのは青葉賞のジンクス。もとより成長が遅かったり、レースを取りそこねたわけでもない。狙いを定めてのチャンピオン・ディスタンス三連戦。鞍上のルメールにも期待できよう。青葉賞の走りが物足りないという声もあるが、むしろハーツコンチェルトの評価を同様に高めるべきと見る。ソールオリエンスの実力は認めるが、前走は馬場と展開に恵まれすぎた面も否めない。馬券はスキルヴィングの頭も想定して組み立てる。馬連にも妙味は隠されていそうだ。以上。